こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

梅雨の季節の中で、貴重な晴れの天気となっていますね

暦の七十二候では、「梅子黄(うめのみきなり)」となっています

(うめのみきばむ)というのもありました

 

意味は、その名の通り、梅の実が黄色く熟す時期ということですね


平安時代には、既に梅干しが作られていたようで、日本最古の医学書に薬として紹介されていたそうです
 

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

 

もうすぐ、本格的な夏の季節がやってくる時期となりましたが・・・ダイエットは、うまくいっているでしょうか?

 

バカバカしいから、もうやめた・・・という方もいらっしゃることと思います

 

ところで、皆さまは「脂肪肝(しぼうかん)」という言葉を知っていますか?

 

そうですね、よく「肝臓が、ファアグラ状態」などと言って、笑っている方がいるのですが・・・実は、「脂肪肝」の中には、「肝臓癌」に発展するものもある・・・というのが、最近の知見にあるのですね

 

まずは・・・「脂肪肝」が、どのような疾患であるのか?・・・を整理しておきましょう

 

「脂肪肝」とは・・・肝臓に中性脂肪がたまった状態を示します

 

メタボリックシンドロームに合併しやすく、放置すると肝炎などを引き起こすとされているのですね

 

食事の摂取エネルギーが、消費エネルギーを上回ると・・・

 

余分なエネルギーは、「グリコーゲン」や「中性脂肪」につくり替えられ、体に蓄え(たくわえ)られます

 

「中性脂肪」は、どこに蓄えられるのか?・・・と言いますと・・・

 

腸間膜(内臓脂肪)や「皮下脂肪組織」、そして・・・「肝臓」にも貯蔵されることが知られています

 

肝細の細胞(肝細胞)の30%以上に中性脂肪がたまると『脂肪肝』と診断されます

 

『脂肪肝』の初期には、ほとんど症状はないのですが、やがて肝炎を起こし肝硬変に進行することもあるとされているのですね

 

肝硬変の原因は・・・と言いますと、これまでは、アルコール多飲

や「B型肝炎やC型慢性肝炎」などのウイルス性肝炎が原因ということが多かったわけです

 

アルコールも摂取せず、健康診断の検査データでは、B型肝炎(HBV)

やC型慢性肝炎(HCV)がないから、心配ないだろう・・・と思っていたら、「肝硬変」となっていることが判明する・・・なんて、ケースもあるわけです

 

このような疾患を「非アルコール性脂肪肝炎(NASH ナッシュ)」と呼びます

 

        (図はお借りしました)

 

「NASH」は,アルコール性の肝障害がない患者に発生する症候群とされているのですが・・・その肝臓細胞の組織を確認しますと・・・アルコール性肝炎と鑑別できない肝傷害が生じるとされています

 

さらにその一部は「肝臓癌(肝細胞癌)」になるリスクもある・・・というもですから、驚きますよね

 

 

原因の詳細は不明とされるのですが・・・「NASH」発症のリスク因子は・・・

 

肥満,脂質異常症,耐糖能障害などのうち、少なくとも1つ有する患者で最も多く発生するとされているのですね

 

大部分の「NASH」の疾患を持つ方は、無症状であるそうなのですが・・・一部の患者さんでは、疲労,倦怠感,右上腹部の不快感を生じることがあるとされているのですね

 

このような疾患に注目しますと・・・

 

やはり、体重を適正値(BMI 22程度)に保つことは、重要なことだな〜と思いますね

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

 

(参考)e-ヘルスネット

 

<ブログ後記>6月21日

6月21日は、一年の中でもっとも昼の時間が長い「夏至(げし)」の日となりますね。

 

今回は、「脂肪肝」についてをお話をさせて頂きました。

 

本文内でも触れましたが、「脂肪肝がある」などという話題が出ますと・・・肝臓が「フォアグラ状態」などという例えがされるぐらいに深刻に考えることは、少ないのかもしれません。

 

では、一般的に・・「脂肪肝」は、どのような方に多いのか?・・・と言いますと、BMI (Body mass Index)が、25以上である方・・・

 

つまり、「肥満」と診断された方の約20〜30%に「脂肪肝」があると言われています。

 

アルコールの摂取が多い場合にも「脂肪肝」が生じることがあり、この場合には、「アルコール性脂肪肝」と呼ばれていますね。

 

本文内でも触れましたが、アルコールが原因でない脂肪肝を「非アルコール性脂肪肝(NAFL)]という病名とされています。

 

「非アルコール性脂肪肝(NAFL)]は、欧米諸国で最も一般的な慢性肝疾患とされていますが、その多くが「脂質異常症」,「高血圧」,「高血糖」などとされていますね。

 

このような場合では、肝機能検査の値の異常が認められることが多いのですが、この背景にあるのは、先に挙げた「脂質異常症」などの代謝障害のコントロール不良があると考えられているのです。

 

飲酒もしていないのに、なぜ、肝臓のデータがよくないのか?・・・などとボヤいているだけでは、なんの解決にもならないというわけですね。

 

例えば、AST(GOT),ALT(GPT)は肝細胞で、γ-GTP は胆管でつくられる酵素なのですが・・・

ALT(GPT)の値が、AST(GOT)の値を上回る形で【AST(GOT)<ALT(GPT)】で上昇するのが、「脂肪肝」のデータの特徴となります。

γ-GTPは、ご存知の方も多いと思いますが・・・飲酒量が多いときや胆道系疾患などで値が上昇することが知られていますよね。

 

もうひとつの理由は、栄養過剰や肥満がもとでγGTPやGPTが上昇するということが知られています。

そのような場合は、「アルコール性脂肪肝(NAFL)」がないだろうか?・・・と疑ってみる必要があるかもしれませんね。

 

 

もちろん、アルコール性脂肪肝(NAFL)]のうち、80~90%は長い経過をみても「脂肪肝」のままで、病気はほとんど進行しません。しかし、残りの10~20%の人は徐々に悪化して、「肝硬変」に進行したり、なかには肝がんを発症したりするとされているのですね。

 

この肝機能が、徐々に悪化していく10~20%の病態を「非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steato-hepatitis)」を「NASH(ナッシュ)」

「非アルコール性脂肪肝炎」(英語表記nonalcoholic steato-hepatitisから「NASH(ナッシュ)」というのですね。

 

image

この「NAFL」と「NASH」との正確な診断が必須とされるのですが、その診断には、肝臓の組織をとる検査「肝生検」による組織学的検査が重要とされていますが、特徴的な変化については、またの機会にしたいと思います。

 

ところで、「非アルコール性脂肪肝(NAFL)]を改善させていくには、どうしたらよいのでしょうか?

 

第一には、食事療法による体重減少、および基礎となるメタボリックシンドロームの治療は、治療の中心であると言えますね。

 

健康的な食事をすることが重要となりますが、研究によると、炭水化物の摂取量の減少(特に糖質と精製炭水化物)により、摂取カロリーを減らすことが重要であるそうです。

 

さらに植物や魚の脂に多く含まれる「不飽和脂肪酸」の摂取量を増やすことが重要とされます。

一価不飽和脂肪酸でよく知られているオレイン酸は、オリーブ油に多く含まれることが知られていますし、多価不飽和脂肪酸のα-リノレン酸、DHA(ドコサヘキサエン酸)、IPA(イコサペンタエン酸)などをより多く摂取することが・・・

肝臓の脂肪を減らし、「非アルコール性脂肪肝(NAFL)]の状態を改善できることが示唆されているそうです。

 

ちょっと変わっているのですが、「カフェイン」は強力な抗酸化物質であり、肝臓の酸化ストレスや炎症の負担を軽減し、肝保護効果をもたらす可能性があるそうですので、コーヒーなどは効果がありそうですね。

 

かなりの数の文献が、体重減少がNAFLDまたはNASHの患者の臨床的改善を誘発することを示しています。いくつかの研究は、大幅な体重減少後の肝生化学の改善を示しましているそうです。

 

最も重要なのは、摂取するカロリーを減らし、体重を減らしていくことでして、その次に食事の内容を「不飽和脂肪酸」の摂取の摂取を心がける・・・という順番が、一刻も早く「脂肪肝」の状態を改善させるのに効率がよいように思います。

 

このなかで、薬剤を用いての治療を併用していく方法も報告されています。もちろん、JTKクリニックの「ダイエット漢方」も含まれているのですが、別の機会にお話をしたいと思います。

 

 

今回も最後までお読みいただきまして

ありがとうございましたお願い

 

(参考)

Review BMC Endocr Disord . 2022 Mar 14;22(1):63.

Non-alcoholic fatty liver disease (NAFLD): a review of pathophysiology, clinical management and effects of weight loss     Sjaak Pouwels et al

 

          (以前のphoto. 筆者撮影)

 

 

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  元 順天堂大学 膠原病リウマチ科 准教授  

日本リウマチ学会 専門医

 

 

 

 

 

 

 

 

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