こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

 

よく晴れた休日の午後となりました

暦の二十四節気(にじゅうしせっき)では、「小満(しょうまん)」

となっており、その意味は、「あらゆる生命が満ち満ちていく時期のこと」であるそうです
 

太陽の光を浴び、万物がすくすく成長していく季節になっているということですね

 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

          (筆者撮影)

 

さて、新型コロナウイルス感染後の後遺症について、新しい知見がありましたので、今回はそのお話をしてみたいと思います

 

新型コロナの「オミクロン株」の後遺症について、ウイルスを排除する免疫細胞が減少しており、この状態の回復には時間がかかる可能性があることが最新の研究で分かったそうです

 

報告したのは、京都大学 感染・免疫学講座免疫細胞生物学 教授の

上野英樹先生です

 

上野先生は、およそ2500人の「オミクロン株」感染後の後遺症のある方の免疫細胞の働きを調べたそうです

 その結果、「オミクロン株」の後遺症患者さんでは、「デルタ株」などの従来株の患者さんと比較した場合、ウイルスを排除する免疫細胞が極端に少なくなっていることが分かったそうです

 

・・・としますと、「オミクロン株」の流行のピークを過ぎてからの死亡者が多くなったという報告にも矛盾しないものになる可能性がありますね

 

以前にもブログ内で、お話をさせていただきましたが・・・新型コロナウイルスの遺伝子の中で、ある部分の領域が「獲得免疫」を低下させてしまう可能性があるのですね

 

生まれつき備わっている「自然免疫」とは違って、「獲得免疫」は生きていく中で、文字どおりに取得していった免疫ということになります

 

その部分は、「オープン・リーディング・フレーム8(ORF8)」という部分で、「獲得免疫」に関わる「MHC クラス抗原」が出現するのを低下させてしまう可能性があるというものでしたね

 

 

ウイルス感染でも以下のように「獲得免疫」には、「MHC クラス I抗原」が関与しています

 

          (図はお借りしました)

 

「オープン・リーディング・フレーム8(ORF8)」が、「MHC クラス抗原」を低下させることが報告されたのは、「デルタ株」以前の新型コロナでの報告でしたので、「オミクロン株」が、新たに「免疫細胞」にどのような変化を与えているのか?・・・注意深く、検討していく必要がありますね

 

 

           (図はお借りしました)
 
上記の図は、「自然免疫」と「獲得免疫」に関わる、各種の免疫細胞を示していますが、「MHC クラス抗原」を介する必要な細胞は右半分となります
 
残りの免疫細胞は?・・・といいますと・・・「自然免疫」の「マクロファージ」、「NK(ナチュラル・キラー)細胞」、そして、「顆粒球」などの細胞のみとなります

 

では、「NK(ナチュラル・キラー)細胞」をメインとした免疫細胞は、新型コロナウイルスを排除すればよいじゃないか・・・となるのですが・・・ここにも問題があるのですね

 

その詳細は、後日の話題にしたいと思います

 

しかしながら、上野英樹教授の2500人の免疫細胞の新しい知見からも、「新型コロナウイルス感染の問題点」の本質が見えはじめた・・・と考えるのは、早計でしょうか・・・

 

まだまだ、油断は禁物(きんもつ)なのでしょうが、解決できる日は遠くないような気がします

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

 

<ブログ後記>5月24日

 

今回は京都大学の上野英樹教授は、およそ2500人の後遺症患者の血液を解析し、免疫細胞の働きが低下している可能性があるという

「オミクロン株」の最新の研究結果をご紹介させていただきました。

 

上野先生は、さらに次のように述べています。

 

ウイルスのかけらを体から十分に取り除くことができず、従来株よりも後遺症が長引く可能性があるとしており、「オミクロンの後遺症は今までの後遺症と別の疾患であるという捉え方をした方が安全かもしれない」 とおっしゃっていますね。

 

以前にもブログ内で、ご紹介したかもしれませんが、一般的なウイルス感染を起こした際の免疫反応は、以下の図のように進行すると言われています。

 

 

例えば、「INFα(インターフェロン アルファ)」は、ウイルスに反応したマクロファージ、好中球などの「自然免疫」の細胞が、ウイルスに反応することにより放出されたものとなります。

 

その後に・・・同じ「自然免疫」の細胞にあたる「NK(ナチュラル・キラー)細胞」が、ウイルスを排除しようとしますね。

 

その後、長期的には、「キラーT細胞(細胞障害性T細胞):CTL」と

「抗体」によって、さらにウイルスが排除され続けていくことになるわけです。

 

新型コロナウイルスに対する「ワクチン」を接種した場合には・・・現状では「抗体」が産生され、この働きにより、新型コロナウイルスを不活化(感染力や病原性をなくさせること)させているということになりますね。

 

話を戻しますと・・・長期的にウイルスを排除していく「キラーT細胞(細胞傷害性T細胞):CTL」は、下の図のように

 

「HLA クラスI抗原=「MHCクラスI 抗原」を介在することが必須ということになります。

これがないと細胞があったとしても、その免疫は働かないことになりますね。

 

 

 

新型コロナウイルスの感染においては、次の図のように「オープン リーディング フレーム(ORF)8 」の部分の影響から、「MHCクラスI (HLA クラス I) 抗原」の発現が低下してしまう・・・とすれば、「キラーT細胞(細胞傷害性T細胞):CTL」がきちんと機能しない可能性が出てくるわけです。

 

「細胞傷害性T細胞(CTL) = キラーT細胞」による長期的な免疫を期待できないことになりますよね。

 

それなら、「NK細胞」で、新型コロナウイルスに感染した細胞を破壊していけば・・・それで解決すると思う方もいらっしゃることと思います。

 

そのとおりなのですが・・・もう一度、下の図をご覧になってください。新型コロナウイルス以外の、通常のウイルスの感染のケースを示しています。

 

上の図では・・・なぜ、NK細胞の量は、ウイルス量が0になる前にピークを過ぎて、低下してしまうのでしょうか?

 

細胞障害性T細胞(キラーT細胞)が増加してきたので、バトンタッチをして、低下したのでしょうか?

 

そんなはずがあるはずはない・・・と思います。その答えは、もともと、ヒトの持つ「NK細胞」が少ないために次第に、その数が尽きていくのではないか・・・と私は考えます。

 

 

「NK細胞」の数が尽きて、さらに「細胞障害性T細胞(キラーT細胞)」が充分な機能を発揮できない・・・状況であるとすれば・・・

 

もし、どちらかの細胞の数や機能を回復することができれば・・・

クリアできる可能性がある・・・ということなのだと思います。

そして、体内に残る「新型コロナウイルス」を0にすることも不可能ではないような気がします。

 

 

続きは、後日の話題にしたいと思います。

 

今回も最後までお読みいただきまして

ありがとうございましたお願い

 

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            (筆者撮影)

 

 

(筆者撮影)

 

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  元 順天堂大学 膠原病リウマチ科 准教授  

日本リウマチ学会 専門医

 

 

 

 

 

 

 

 

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