こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ
 
6月最初の休日の午後となっています
 
先ほどまで、雨が降ったり、やんだりのお天気でしたが、今は窓を開けますと涼しい風と夕陽の眩しさ(まぶしさ)を感じることができます
 
暦に目を移しますと・・・七十二候(しちじゅうにこう)では「螳螂生(とうろう しょうず)」となりますね
 
蟷螂(とうろう)とは、昆虫の「かまきり」のことです
ちょうど、この時期は「かまきり」卵からかえる頃だとか
 
「蟷螂の斧(とうろうのおの)」ということわざ(?)を以前に聞いたことがあります
 
カマキリの前脚を「斧(おの)」に例えた表現だそうで、「明らかに弱い者が強い者に対し、自分の力量をふりかえらず挑むこと」を指すそうで、無駄ではかない抵抗」という意味だそうですニコニコ
 
皆さまの体調は、いかがでしょうか?
 
image
 
さて、今回はメールでの質問が多い「ジェネリック医薬品」のお話をしたいと思います
 
ジェネリック医薬品とは、いわゆる「後発品(こうはつひん)」と呼ばれるものですね
 
例えば、ある新薬が発売される際には・・・それを開発した製薬メーカーは、当然ですが「特許(とっきょ」」を取得します
 
すると他の製薬メーカーはその新薬と同じものを作ることはできないことになります
しかし、その特許が切れると他の製薬メーカーでも生産・販売ができるのですね。
 
ある薬剤の特許が切れたタイミングを「ビジネスチャンス」ととらえ、その製造・販売に乗り出すメーカーが出てくるということになります
 
ジェネリック医薬品シェア(数量ベース)を見てみますと
(    )は、西暦
 
1 米国 (2013 )86. 0 %
2 イギリス (2014 )84. 3 %
3 ドイツ (2014) 81. 0 %
4 チリ (2015 )80. 2 %
5 ニュージーランド( 2015 )78. 5 %
6 オランダ( 2014 )71. 4 %
 
現在、日本におけるジェネリック医薬品のシェアは、76.9%程度となっているようです
 
医療費の負担を少しでも軽くするために、割安なジュネリック医薬品を積極的に利用しようということを世界各国が力を入れているのですね
 
新薬を製造した先発品メーカーからは
「主成分は一緒だとしても、薬の効果は異な理ますよ」という声も
あるのですが・・・
 
「実際には、どうなのか?」という質問が多いのですね
 
次の表は、先発品と後発品の承認申請に必要な書類を示しています 
 
       (表は、お借りしました)
 
先発医薬品では提出義務のあった薬理作用を示す資料や急性毒性や慢性毒性などの副作用についての資料が不要となります
 
最も大きな違いは、臨床試験の成績、つまり、治験(ちけん)のデータが不要なのですね
 
治験とは、新しい「薬剤」が国の承認を得るために
安全性や有効性を確認するために行う「臨床試験」のことを指します
 
この治験は、次のような試験を行っていく必要があります
 
1)第1相試験
健康な方を対象とし、まずは薬の安全性を調べていきます。身体に吸収されるか、どのように体内を分布するか、代謝はされるかなどを調べます
 
2)第2相試験

この段階は、治験薬を必要とする患者さんを対象としています

「どれだけ効果が優れているか」を調べる為にまずは用法と用量、どのくらいの量をどのタイミングで服用すると一番効果が得られるのか、一番副作用が少なく安全に使えるのかを調べていくのが主な目的です

 

3)第3相試験

第1相・第2相で調べたデータを元にどれだけ効果が優れているかを調べます

主に行われるパターンは, 「治験薬」・「対照薬」・「プラセボ」の3パターンです

「対照薬」と言うのは治験薬と同じような、現在、流通しているお薬

「プラセボ」というのは、偽(ニセ)の薬剤ですので、当然ながら効果のないものとなります

 

この3つの群のデータを比較したうえで、「治験薬の効果」が優れているかを比べていくことになります

 

これらの試験が終了したあとに・・・

 

データが薬の有効性・安全性を信用するに足りうるかを審査されるのですね

 

これらの条件をクリアできると・・・「医薬品医療機器総合機構」といった独立行政法人が実務のほとんどを担当し、「厚生労働省」が、最終承認を行うという流れになりますね

 

新薬を開発しても「治験」という大規模な臨床試験を行い、既存の薬以上の効果を示し、また、安全性を示すデータも提示しなければなりませんので、その販売までには、莫大(ばくだい)な費用がかかるということになりますね

 

「ジェネリック医薬品」と呼ばれるものは、先発品と同じ成分とされますので、一般的に「治験」を行う必要がありませんので、開発コストが安くなる・・・というわけです

 

もちろん、現在、処方されている「ジェネリック医薬品」は、有効性と安全性は確認されているので、心配する必要はないと思いますウインク

 

JTKクリニックの保険診療の部分の薬剤については、「ジェネリック医薬品」も薬局で受け取れるように

薬の内容を「薬剤の一般名」で記載して、処方箋(しょほうせん)をお渡ししていますが、「先発品」が希望であったり、「先発品」のみしか、効果が期待できない場合は、「後発品不可」という印をつけていますウインク

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

 

<ブログ後記>6月8日

都内は、梅雨入りもしないまま、30℃を超える蒸し暑い1日でした。

 

さて、今回は「ジェネリック医薬品」、いわゆる薬剤の後発品についてのお話をさせて頂きました。

 

先日、福井県の製薬会社が爪水虫などの治療薬に睡眠剤成分を混入させてしまった問題があり、この会社に長期の業務停止命令が県から出されているニュースがありました。

調査をして、品質試験結果の捏造(ねつぞう)などが明らかになったそうです。

 

このニュースで「ジェネリック医薬品」は信用できるのか?と思った方が少なくなかったのだと思いますね。

メールで「ジェネリック医薬品」についての記事の希望を頂くようになったのも上記のニュースがあってからでしたね。

 

なかなか、この話題をブログ内でお話するのは、先送りをしておりました。その理由は、いわゆる後発品、「ジェネリック医薬品」を治療に用いることは、個人の医療費の負担や医療財政の破綻を防ぐために

必要不可欠と考えられるからです。

 

「ジェネリック医薬品」は原則として、先発医薬品と効成分で効能・効果、用法・用量が同じことが原則となりますので、効果はほぼ、

同じ程度と考えてよいと思います若干の有効性に違いが出てしまう理由は、どのようなものなのでしょうか?

 

それは、薬剤成分を固形に保つための材料にあるのでは?・・・という説もあります。

先発の薬品を製造している大手の製薬会社の方に聞いたことがあるのですが、新しい薬剤を開発するときには、薬剤を固形に保つための材料までも、その開発の対象だとおっしゃっているのを聞いたことがあります。

 

つまり、効果の期待できる薬剤成分が、最も効率よく吸収されるのを助ける材質を用いるなどの工夫がされているそうなのですね。

 

私自身も経験のあることでは、次のようなことがあります。

それは、線維筋痛症という疾患の治療に

「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」という種類の

抗うつ薬「ルボックス」を用いることがあります。

他の複数の薬剤との併用をすることで、個人差はありますが、疼痛の軽減効果があります。

 

(公開特許広報(A) 線維筋痛症治療薬 出願番号

2007105774、小笠原 均、高崎 芳成、西岡 久寿樹)
(詳細は後日にしたいと思いますが、恩師の1人である元順天堂大学 膠原病リウマチ科教授 高崎 芳成先生のご指導により、取得した特許となります)
 

 
 

 

この薬剤の後発品の中に薬剤の一般名と同じ「フルボキサミンマレイン酸塩錠」という薬品があります。薬剤の成分は、ほぼ同じなのですが、不思議な「フルボキサミンマレイン酸塩」の方では、線維筋痛症の疼痛を改善させる効果が小さいのですね。

 

「ルボックス」というのは、アメリカ合衆国・のノース・シカゴに本社を置き、新薬の研究・開発・販売を行うバイオ医薬品企業である「「アッヴィ」という会社の開発した先発品となります。

 

なので、「ルボックス」だけは「アッヴィ」社の先発品を処方することになるといった次第です。もちろん、特殊な状況ではあると思いますが・・・ね。

 

ブログ本文でも触れたように世界の国々では、「ジェネリック医薬品」を積極的に取り入れ、医療費を可能な限り抑制しようとしている

状況ですから、この世界の国々の流れに逆らえるはずもありませんよね。

 

もし、違いがあるとすれば・・・専門家の意見は、次のようなものです。

米国では後発品の各製剤に対して、治療同等性(安全性、有効性)を実証することが求められるのですが、日本では「同等な安全性や有効性が推測される」ことが求められるのみであるので、やや、基準が甘くなっている可能性もあるのでは・・・という指摘もあるようです

 

もちろん、他の疾患でも多くの後発品がありまして、どういうわけか

自分にとっては、後発品の方が調子がよいという方もおりますので、

薬剤師の方のお話も聞きながら、自分にあったお薬を見つけていくというのも大事なことですね。

もちろん、定期的に薬の副作用がないかをチェックして行く必要はありますがね。

 

 

今回も最後までお読み頂きまして

ありがとうございましたお願い

 

 

  (以前のphoto.: 筆者撮影)

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