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さて、蒸し暑いというお話をしたわけですが、どうしてもこの時期には食欲がないという方も多いようです
暑さのために寝苦しいとか、眠りが浅かったりするせいで、疲れが蓄積しているよに感じたり、食欲がないと訴える方は多くなりますね
JTKクリニックでは、このような体調不良や倦怠感にいくつかの治療法があります
ニンニク注射、高濃度ビタミンC点滴、プラセンタ注射、そして、NMN点滴(内服)とあるのですが、漢方薬による治療も行なっています
具体的には、いわゆる煎じ薬(せんじぐすり)ではなく、エキス顆粒という処方できる薬を使っています
漢方エキスの薬剤は「ツムラ」という製薬会社のものを処方することが多いですが、「コタロー」という製薬会社の漢方製剤は、カプセルもありますね
「クラシエ」という製薬会社のものもあります
市販でもあるようですが、医療機関で処方されるものは成分が多いようです
いくつぐらい漢方薬があるかと言えば・・・例えば、ツムラの漢方薬
でご紹介しますと
1番という数字のついている「葛根湯(カッコントウ)」から
138番という番号のついている「桔梗湯(キキョウトウ)」までの製剤があります
それでは、138種類あるのか?と言いますと、実は欠番がありますので、約120種類となりますね
ちなみに「葛根湯(カッコントウ)」」は、風邪の初期症状に効果があることで知られますが、それは「抗ウイルス作用」があるからです
慢性的な肩こりにも効果があるのは、知る人ぞ知る、もう一つの効果となりますね
桔梗湯(キキョウトウ)は、扁桃炎の痛みを緩和する効果が知られています
効果のある服用の仕方は、少し変わっていて・・・お湯などに薬を溶かし、それで、軽くうがいをしてから、それを飲み込むというもので、かなり、効果があるのですが・・・その飲み方については賛否両論ありますね
では、食欲不振に効果のある漢方薬は?と言いますと・・・
①六君子湯(りっくんしとう)
<効果のある症状>
胃腸が弱く、疲れやすい方の胃炎、胃腸虚弱、消化不良、食欲不振
②平胃散(へいいさん)
<効果のある症状>
胃がもたれて消化が悪く、ときにはきけ、食後に腹が鳴って下痢の傾向がある方の急・慢性胃炎、消化不良、食欲不振などなどがあります
しかしながら、極端な身体の疲れなどを伴っている場合には
③補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
<効果>体力虚弱で、元気がなく、胃腸の働きが衰えて疲れやすい方の疲労倦怠、病後・術後衰弱、食欲不振など
④十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
<効果のある症状>体力虚弱な方の病後・術後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振など
⑤人参養栄湯(にんじんようえいとう)
<効果のある症状>
虚弱な方の病後・術後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、手足の冷えなど
もちろん、漢方薬ですので「証(しょう)」という服用する方の身体的な特徴によって、処方する薬を選んでいく必要はありますが・・・
痩せているかや太っているかなどではなく、体力などが弱っているかなどという視点で判断していくことになります
JTKクリニックでは、通常の薬剤を用いる西洋医学的な医療と漢方薬を用いる東洋医学的な医療を融合した医療も行なっています(保険診療)
新型コロナウイルス感染ばかりが「病(やまい)」ではありませんので・・・ね
素敵な1週間をお過ごしください
それでは、また
<ブログ後記>6月1日
6月に入りましたね。今日は、よく晴れた1日でしたね。
今回は、漢方薬を使った医療の一部をご紹介させて頂きました。
実は、奈良時代以降の日本の医学は、中国伝統医学が主流だったのですね。現在の形の西洋医学が日本に伝わったのは、江戸時代中期以降だったのですね。
西洋から伝わった医学を「蘭方医学(らんぽういがく)」と呼び、主に長崎出島のオランダ商館医(医師)などを介して、江戸時代の日本に伝えられたと伝えられています。
これに対して、従来からの日本化された中国医学を「漢方」と呼んでそれぞれを区別するようになったようですね。
つまり、漢方医学は古来からの歴史を持ち、人々の生活に密着するものであったのですが、大学などの医学教育の中では、あまり時間が割かれることはないものになっているのが、現実です。
なので、漢方医学を否定する医療関係者もいることは、仕方のないことかもしれませんね。
少しだけ専門的なお話をしますと・・・
漢方薬の成分は、ケイヒ、サイコ、サンヤク、シャクヤク、ショウキョウ、センキュウ、ソウジュツ、タイソウ、チンピ、トウキ、ニンジン、クジュツ、ブクリョウ、ボタンビ、マオウ、カンゾウ、カッコン
などといった自然界に存在するものとなります。
シャクヤクは・・・古くから美人な女性を形容する言葉で
「立てば芍薬(しゃくやく)、座れば牡丹(ぼたん)、歩く姿は百合(ゆり)の花」
とあるように、ボタン科の多年草ですし
チンピは、温州(ウンシュウ)みかんの成熟した果皮ということになりますね。
では、漢方薬には、副作用はないのでしょうか?
答えは「漢方薬にも副作用はある」ということになります。
実は過去にある医療機関が5年間にわたり、調査した結果があります。
漢方による中等以上の副作用は96例の報告があったようです。
その内訳は、次のようなものでした。
1)偽アルドステロン症関連(偽アルドステロン症、低カリウム血症、血圧上昇、浮腫)48件
2) 薬剤性肝機能障害23件
3)発疹・掻痒など21件、
4)間質性肺炎10件
5)スティーブンス・ジョンソン症候群1件
6)アナフィラキシー1件
7)心不全急性増悪1件
2)の薬剤性肝機能障害があるのに驚かれる方もいらっしゃると思いますが、1)の偽アルドステロン症の多さには・・???と思う方もいることと思いますね。
これは、漢方処方の甘草(カンゾウ)が原因のものです。
「甘草」は、中国東北部から,中央アジアおよび南ヨーロッパの乾燥地に分布する植物であり、ショ糖のおよそ150倍の甘味を有するといわれているグリチルリチン酸を多く含み,文字どおりの「甘い草」となるのですが、これは,紀元前の時代から薬として用いられていたと報告されているものですね。
効能は、驚くべきものです
抗消化性潰瘍作用、胃粘膜障害防止作用、抗炎症作用、解毒作用、抗菌作用、鎮痙作用など多くの薬理作用を持つとされ、他のものと混ぜ合わせることも簡単らしく、
漢方薬の要薬で主要処方の70%以上に配合されているようです。
しかし・・・甘草並びに主成分のグリチルリチンは大量に使用すると、ナトリウム貯留、カリウム排泄促進が起こり、
その結果、浮腫、高血圧、四肢麻痺、低カリウム血症等の「偽アルドステロン症」が現れるとされます
「アルドステロン症」は、アルドステロンという副腎(腎臓の上にある小さな臓器)から過剰に分泌されることで高血圧が引き起こされる病気です。詳細は、またの機会としますが、高血圧を指摘され低K(カリウム)血症を呈したりする疾患です。
この血圧を上昇させるホルモン「アルドステロン」の過剰分泌がないのにも関わらず、高血圧症. 頭重感、や低カリウム血症 を生じてしまうのが「偽アルドステロン症」というものです。
このうち、低カリウム血症がクセ者で・・・
歩行困難、. 四肢麻痺.まできたすことがあるのですね。
服用前には、血圧の高い人または高齢者、心臓または腎臓に障害のある人が服用するのに注意が必要であり、
2種類以上の漢方薬の服用では、その組み合わせによっては
同じ生薬成分が重なることにより副作用が出やすいと言われるのも
納得できますよね
もちろん、JTKクリニックでは定期的な採血検査をしていきますので、ご心配なく
最後までお読み頂きまして
ありがとうございました
(以前のphoto.: 筆者撮影)
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日本内科学会認定医 緩和ケア医療医
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