こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ



都内でも梅雨入りをしまして、傘を持ち歩く日が多くなっています
皆さまの体調は、いかがでしょうか?



さて、前回は古来からの東洋医学をもとに作られた漢方薬について、お話をしました

中国3000年の歴史をベースにしているわけですから、実際の臨床の現場でも、漢方薬の効果を実感できることは多いと感じます


日本の国内の医薬品とされている漢方薬は生薬という本来の漢方薬ではなく、そのエキスを抽出した顆粒となりますね

本場の中国の方も、これは便利と感じるようです
なぜなら、エキス顆粒での服用は、日本の独自のスタイルなのですねウインク


その対象となる疾患は、関節リウマチなどの自己免疫疾患から 更年期障害、全身倦怠、不眠、胃痛、不安、手足の冷え、不穏といった多彩な疾患を網羅します


それでは、今の現代において用いられる薬はというと・・・大半は、西洋医学に基づく薬ということになります


歴史が浅い(?)ものが多いことから、これらの薬は
すべて、科学的な理論のうえに
その作用機序というもの・・・を含めて
明らかになっているのですね



「どのような機序で、どのポイントにどのように効果を示すのか?」

ということを説明できることが、条件となります


医療のなかで、実際に使われる薬は理論をもとに
まず、実験室において効果のあることが示され、その化学構造などに変化を加えた後に動物実験をした後、やっと、世に出てくるわけですね



世に出てくると言っても、もちろん、これで終わりではありません


ここから、下に示すような 第I〜III相試験がやっと、開始されるのですね




第Ⅰ相試験とは、少数の健康な成人に対し初めてヒトにお薬を投与する段階の試験です

(癌などでは、第I相試験から患者さんへの投与ができます)


第Ⅰ相試験は主に安全性を確認するために行う試験で、一般的には治療効果を見ることを目的とはしていないのですね

この段階では、薬の吸収、代謝、排泄などもモニターされます

最初は少ない用量のお薬から始め、用量を段階的に増やしていき、安全に使用できるお薬の量を調べます

具体的には、決められた日に入院と通院が必要になることが多いかも・・・

入院中には、決められた環境下で投与を行い、血液検査、尿検査、心電図検査などの検査を実施しなければいけません

また、試験実施中に参加者に異常がないか専門の医師、スタッフが常時観察することが必要になるのです

それでは、第II相試験とは・・・

ここにきて、やっと、その対象疾患を持つ患者さんに投与できるようになります

第Ⅰ相試験で安全性が確認された用量の範囲内で、同意を得た比較的少数の患者を対象とし、投与してみて、薬の効果などを分析することになります


薬の安全性および有効性・用法・用量を調べるための試験ですね


第Ⅲ相試験を実施する際の、安全性、用法(投与の仕方:投与回数、投与期間、投与間隔など)、用量(最も効果的な投与量)を設定する目的の場合が多い。

そのため、最初は少数例の患者に対して、低用量の投与から始め、徐々に患者数を増やし、投与期間を長くし、投与量を増やすことが多いとされます


プラセボ(偽薬)を投与する群を作り、本物の薬と比較するのも、この段階ですね


この段階で、統計学的にはっきりとした有効性を示すことができた薬のみが、やっと、次の第III相試験に進めることができます



では、最後の第III相試験は・・・というと


多数の患者様に対して薬剤を使用し、第II相試験よりも詳細な情報を集め、実際の治療に近い形での薬の効き目と安全性を確認しなければならないのですね


もちろん、統計的にはっきりとした効果を示すことができなければ、この薬は永久にお蔵入りとなりますよね


薬の効果が確認されて、重篤な副作用がなければ・・・

これらの薬剤の開発のための研究を「治験」というのですね


これらの「治験」の期間は、患者様の医療機関への支払いが全く無くなるということはありませんが、医療費の一部は製薬会社が負担することになりますね

このようにひとつの薬剤が臨床の現場に入ってくるには、その薬の有効性を示すデータや作用機序をもとに
厚生労働省の許可が出て、無事に
薬として、認可をされることになりますウインク

製薬会社にとっては、薬の研究開発に莫大なコストがかかることから

会社の命運をかけることさえ、あるかもしれないなぁ・・・なんて、思います



おそらくですが、E社の認知症の新薬は、第III相試験の初期の段階、或いは、その手前で

有効性を示すデータが得られずに中止を余儀なくされたと考えられる報道が出ています


E社と共同開発をしていた外国企業B社の声明を見ると・・・

理論としては、認知症の改善をもたらすはずであった。しかし、実際には有効性が確認できなかった

アルツハイマー型をはじめとする認知症の発症メカニズムは、想定していたものより、複雑であった・・・とコメントを発表しています



多くの人々が、アルツハイマー型認知症などの新薬の登場を待ち焦がれていたので、とても残念に思いますね


気休めでもいいから、新薬を出して欲しかった・・・という患者さんの言葉も聞きますが


しかしながら、日本の薬事法、現在は薬機法と言いますが、年々、厳罰が課されるようになっています


医薬品、医薬部外品、化粧品を取り扱う業者や個人には薬機法(旧薬事法)の規制がかかり、薬機法(旧薬事法)の規定に違反すると罰金や懲役という制裁が課せられる場合があります。


健康食品と思われるものが効果効能をうたっていたため、薬機法の医薬品規定を適用して逮捕されているケースもあるのですね



この内容は


「懲役刑では贈収賄に関わった場合に最長で7年以下の懲役が課せられることになります。贈収賄にかかわらない場合でも、最大で5年以下の懲役もしくは、500万円以下の罰金が課せられることもあり、薬機法違反の罰則は比較的重いです。
株式会社等の法人が薬機法違反に問われれば、代表取締役社長等が逮捕されることとなります」



とされているのですね



つまり、金品の授受などがあれば、懲役7年もあり得るというわけですから・・


そして、E社、B社の代表も罪に問われる・・・となれば、やはり、「気休めでもいいから、新薬を出してほしい・・・」などと言う軽口は、叩けなくなりますねてへぺろ



とても、残念でしたが、2社ともに


「今後もアルツハイマー認知症の新薬開発のための研究等は、進めていく」


というコメントも出していますので

期待しながら、待ちたいと思います



それでは、またバイバイ





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今宵は、こんな気分で