第Ⅰ相試験で安全性が確認された用量の範囲内で、同意を得た比較的少数の患者を対象とし、投与してみて、薬の効果などを分析することになります
薬の安全性および有効性・用法・用量を調べるための試験ですね
第Ⅲ相試験を実施する際の、安全性、用法(投与の仕方:投与回数、投与期間、投与間隔など)、用量(最も効果的な投与量)を設定する目的の場合が多い。
そのため、最初は少数例の患者に対して、低用量の投与から始め、徐々に患者数を増やし、投与期間を長くし、投与量を増やすことが多いとされます
プラセボ(偽薬)を投与する群を作り、本物の薬と比較するのも、この段階ですね
この段階で、統計学的にはっきりとした有効性を示すことができた薬のみが、やっと、次の第III相試験に進めることができます
では、最後の第III相試験は・・・というと
多数の患者様に対して薬剤を使用し、第II相試験よりも詳細な情報を集め、実際の治療に近い形での薬の効き目と安全性を確認しなければならないのですね
もちろん、統計的にはっきりとした効果を示すことができなければ、この薬は永久にお蔵入りとなりますよね
製薬会社にとっては、薬の研究開発に莫大なコストがかかることから
会社の命運をかけることさえ、あるかもしれないなぁ・・・なんて、思います
おそらくですが、E社の認知症の新薬は、第III相試験の初期の段階、或いは、その手前で
有効性を示すデータが得られずに中止を余儀なくされたと考えられる報道が出ています
E社と共同開発をしていた外国企業B社の声明を見ると・・・
理論としては、認知症の改善をもたらすはずであった。しかし、実際には有効性が確認できなかった
アルツハイマー型をはじめとする認知症の発症メカニズムは、想定していたものより、複雑であった・・・とコメントを発表しています
多くの人々が、アルツハイマー型認知症などの新薬の登場を待ち焦がれていたので、とても残念に思いますね
気休めでもいいから、新薬を出して欲しかった・・・という患者さんの言葉も聞きますが
しかしながら、日本の薬事法、現在は薬機法と言いますが、年々、厳罰が課されるようになっています
医薬品、医薬部外品、化粧品を取り扱う業者や個人には薬機法(旧薬事法)の規制がかかり、薬機法(旧薬事法)の規定に違反すると罰金や懲役という制裁が課せられる場合があります。
健康食品と思われるものが効果効能をうたっていたため、薬機法の医薬品規定を適用して逮捕されているケースもあるのですね
この内容は
「懲役刑では贈収賄に関わった場合に最長で7年以下の懲役が課せられることになります。贈収賄にかかわらない場合でも、最大で5年以下の懲役もしくは、500万円以下の罰金が課せられることもあり、薬機法違反の罰則は比較的重いです。
株式会社等の法人が薬機法違反に問われれば、代表取締役社長等が逮捕されることとなります」
とされているのですね
つまり、金品の授受などがあれば、懲役7年もあり得るというわけですから・・
そして、E社、B社の代表も罪に問われる・・・となれば、やはり、「気休めでもいいから、新薬を出してほしい・・・」などと言う軽口は、叩けなくなりますね
とても、残念でしたが、2社ともに
「今後もアルツハイマー認知症の新薬開発のための研究等は、進めていく」
というコメントも出していますので
期待しながら、待ちたいと思います
それでは、また
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小笠原 均 (Hitoshi Ogasawara) 医学博士
H4年新潟大学医学部卒
日本リウマチ学会 専門医
日本内科学会 認定医
緩和ケア医療 認定医
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内科医 小笠原 均@JtkJazz17000がんゲノム医療保険適用 #SmartNews https://t.co/pH6qKS8hAQ
2019年06月08日 10:52
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今宵は、こんな気分で