こんにちは。内科医 ひとちゃんです
寒い日が続いてますね。ときおりは、暖かい日差しもあって、春の到来を感じさせることもありますが
さて、前回の続きです・・・・蕎麦屋での「爆死の予感」・・・・
長い沈黙を破って、
恩師
「春草会・・・・・知ってるかい?」
春草会とは、藤田教授が作った学生を中心としたコミュニティーです。
藤田教授のワークスペース、つまり、第3解剖学講座のあるスペースで、フランス語の本の輪読会とか、ドイツ語の名作を持ちまわりで、訳しながら、輪読会などをしていました。
私
「先生が主催される、とても高尚な勉強会と聞いています。」
恩師
「いや、僕は、一会員にすぎないんだ。会長は、H君という学生がやっている。彼は、アクティブな男で、春草会内でテニスサークルもやっているよ」
ここで、初めて、恩師は笑顔になった。
私
「私は、ビリヤードとテニスのサークルをやっていると言っても、下手でして・・・。ビリヤードだけでは、会員が集まらない思いまして。なので、無理かと・・・・」
恩師
「・・・・・・・(沈黙)」
私
「やってみます。入会させて下さい。」
恩師
「そうか、よかった。今度、H会長を紹介しよう。追試が終わったら、教授室に来なさい。」
と、再び、笑顔に
恩師
「何をやるにしても、頭で考えただけで、無理という結論を出してはダメだよ。
A,Bという2つの道があり、それが無理なら、Cという道を作り出せばいい。Cがだめなら、Dという脇道を作る。
それもダメなら、DからAに戻れるバイパスを作る。
それもダメなら、ちょっと、立ち止まって、時を待つ。すると新しい道が自ずから開ける。」
もう、恩師は、とっくに蕎麦を食べ終わっていた。
恩師
「私は、会議があるから、先に失礼するよ。待っているからね。必ず、来なさい。君は、ゆっくりとラーメンを食べなさい。」
「逆やん・・・」
ふつう、学生が先に席を立ち、講義が始まるので、「お先に失礼します」が、あたりまえ・・・
私
「・・・・・」
恩師
「もちろん、やりたいことがあれば、君が何かをやってもいいんだよ。何がやりたい?」
肝心な組織解剖学の追試の話には、触れない恩師が、お勘定に席を立とうとしている。
Aやら、C,Dという話も嫌な予感がしたし、Dは少なくとも、試験の不合格を連想しましたし、時を待つという言葉は、私の留年を連想させたわけです。
私
「蟹を食う会を主催したいです。」
とっさに出た言葉が、自分でも情けなかったですね。全く、芸術や学問に関係のないことですから
恩師
「面白いじゃないか。それは、春草会の学生の誰もやっていないよ。まさに新しい道だね」
と愉快そうに笑いました。
私は、頭の中で、「セーフ」とガッツポーズをとりましたね。
しかし、それは一瞬で、また、追試の不安が・・・・思い切って、叱られる覚悟で、言ってみました。
私
「あの〜春草会に入る為には、私は、組織解剖学の追試をクリアしなければ、いけないのです!」
これは、私の人生のなかで、初めての
「賭け・・・・一か八かの勝負」
でありました。
つづく
昨日、小笠原諸島で、新種の蟹が、発見されたとニュースをネットで見ました。
蟹・・・・・ただの偶然・・・・です
もちろん、私は、小笠原諸島の出身ではないのですが・・・
それでは、また
小笠原 均 JTKクリニック院長
(千代田区麹町)
H4年 新潟大学医学部卒
日本リウマチ学会 評議員、リウマチ専門医
日本内科学会認定医
医学博士:専門 分子生物学(遺伝子発現について)
緩和ケア医療認定医
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