水垢離の後に自らの部屋の神棚に清浄な水を備えて祈りを捧げ、父に朝の挨拶。

 数か月ぶりにワテの日常が帰ってきて…

 やはりこれが普通なんやと思う。


 祈りの時間が長いほど、お前には重い話があるのだと父は言う。

 確かにその通り。

 ワテは前職でもやらなかった、都市の再開発というプランを自らの手でしかけようとしとります。

 しかし上手く行っても、ワテの名前はおろか携わった我が社の名前も出ない。

 草であることの悦びと誇りを持つことを条件に大きな力と行動力を改めて手にした訳で、プロジェクトを共に闘うワテの老師もそうやって大阪モノレール他の巨大な事業を進めてきはったんですな。

 影の仕立人になると決めて数カ月動き、今2つ案件が地上に舞い降りようとしていまして、そこに不動産の神が降り立つかどうかで勝負は決まるというもの。

 競合なんていない。

 自らの読み間違いだけが敵となるということを銘記せよと老師に教えられ、ワテの思う不動産の神も条件が整う時だけに降り立ち、美しい舞を見せる。

 その舞を再び見たくて不動産屋は仕事に励む。


 さて、今から数日間は勝負ですわ。

 幸い老師と同行二人。

 何とか上手く行かせたいもの。

 自らのためと、それによって人々の笑顔がその地に満ちるのが見たいから。