日中もなんだか頭がぼーっとして眠い…
そんな日がここ数日続いています。

寝不足、というほど寝不足とは思えないのですが


心の落ち着かない理由があるので、原因はそれかもしれません。





我が家の前には、私が生まれた頃から大きなアパートがありました。


広い敷地の中に、3階建てが二棟、大きいのとその半分くらいのと
そして広い駐車場がありました。





入り口にはソメイヨシノが2本寄り添って立ち、毎年見事な花を咲かせてくれました。





大小の棟の間にはツツジの生け垣と芝生があり、私が子供の頃には鶏が放し飼いにされていました。

よくツツジの花をちぎっては鶏に放ってやったものです。





入り口の左側、道路に面しては、ドングリの木が3本大きく育ちました。

ちょうどうちの目の前で、2階の寝室の目隠しになってくれました。





そしてその後ろには、のびのびと育った見事なケヤキが立っています。





このアパートは取り壊されることになりました。



まず2本の桜が伐られ

小さい方の建物の解体が始まり

生け垣も、他の木も、なくなっていきました。



ある日メキメキという音がして外を見たら

重機が首長竜のようにドングリの枝をムシャムシャと食べていました。


いえ、一瞬そう見えただけで、

本当は重機の強力なパワーでドングリの太い枝をむしりとっていたのです。




木が悲鳴を上げているような気がしました。




いたたまれなくなって部屋へ戻り、しばらく経ってもう一度見たときには

もうドングリの木はありませんでした。



いずれケヤキも同じ目に遭うのでしょうか…。





何かを壊すという行為が、私は苦手です。
どんなものであれ、そこには尊ぶべきものが多かれ少なかれあると思うからです。

作り手の思い、使う人の思い、

そして、命。



えらそうなことは言えません。
うちの山の家だって、家を建て、庭を造るために木を伐採しました。


だけれども、人生の大半を共に過ごしてきたかのようなこのアパートが無残に壊されていくのを見ることは
私にとってとても切ないことなのです。



週末を除き毎日続く取り壊しの作業。
重機を使ってのそれは、騒音と震動を生みます。

自然に朽ちていくのではなく、大きな力で破壊していく…

それがあと一月半は続くようです。







せめて…



せめて、伐られてしまった木が無下に捨てられることのないよう

祈るだけです。