雲の10・REBIRTH(再誕生)です。
雲のスートにしてはちょっと可愛い絵柄。
ラクダからライオンが、ライオンから笛を吹く女の子が生まれているみたいです。
ラクダは自己満足、無自覚の象徴。ライオンはパワー、個であることの象徴。子どもは潜在能力、無垢、喜びの象徴です。
ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」が元の絵だというので、今度図書館で探してみようかと思います。
ツァラトゥストラという人物が語るという小説風の哲学論みたいですね。読みやすい訳本があればいいんだけども。文語体だったらさすがに寝てしまう……(笑)。
原文はドイツ語か。言語学習もやりたいんだよな。
ニーチェは未読なので触れられないな。
再誕生ということなら、どちらかというと大アルカナの13番とか20番を連想するけど、それとは微妙に違う感じがするし。
ウェイト版の剣の10はなかなか衝撃的な絵で、あれはちょっと印象が引き摺られる。むしろ大アルカナ16番に通じるといってもいいくらい(笑)。
んでもこうして別カードとして独立している以上、根底にはそれぞれ独自の意味があるわけで。
ということを平たく言うと、解釈に四苦八苦しています、となります(笑)。
このカードの中で雲に囲まれているのはラクダです。
ということは、主役というか、カードを引いた人の主な現状というのはラクダの方なんだと思う。
自己満足、無自覚。ブックレットによると、眠たげで怠惰。
雲の9の嘆きから立ち直れず、無気力になった様。あるいは無力に囚われた様。
実際のラクダは砂漠等で大活躍なわけですが、ここでは象徴としてのラクダですので実際の動物とはあんまり関係ありません。
女の子がライオンに食われちゃう! とかいうこともありません。
たおやかな女性でも楽々ライオンを押さえ込める、それが素敵なタロットワールド。
ラクダから現れたライオンは、個であることの象徴です。これは大アルカナ15番でも出て来ます。
無気力、無自覚、自己満足、怠惰であった自分に気づき、荒々しいパワーを持って自己をしっかりと確立しようと戦う。ライオンの力強さから言うと、本能と言っても良いと思う。
ウェイト版の大アルカナ8番「力」では、女性(理性)がライオン(本能)を抑え込む、制御する。
その本能が、視界を塞ぐ雲を抜けて光に向かって吠える。
カラーで見ると、下から黒→黄(金)→白。象徴的には、虚無→真理→無垢。
疑問にも思うことのなかった虚無を抜ける。何かきっかけがあって自分を変える決心をした人には、ちょっと覚えがある感覚かも。
自分がどれだけ盲目的に無能力であることを信じ込んでいたか、動いているつもりで動いていなかったか、考えているつもりで本当には考えを及ばせることが出来ていなかったか、そういうのが一気に襲ってきて愕然とする。
それから、そういう自分を否定したくて、そうじゃないと信じたくて戦い始める。
今までの自分を変えるために、変えまいと妨害してくるように見える周囲と戦う。
断捨離みたいな徹底的な掃除をしてみたり、今まで抱え込みすぎていた仕事や案件を少しずつ手放す努力を始めたり。子どもの第一次反抗期にも似ているかも知れない。「嫌だ」ということで個を確立し始める。第二次反抗期は別ね。あれは質が違うから。
そこでは終わらない。ライオンから子どもが現れる。
潜在能力、無垢、喜びの象徴。声高に攻撃的に吠えなくても、そのままの存在でいる。
すべてを受け入れても個を消されず、喜びに基づいて事を行い、美しい笛の音で印象的に柔らかく主張する。
それは多分、雲を払う本当の夜明けなんだと思う。
必死になって自分のあるべき姿を追い求めてると、実に軽々と、楽々と、力強く自分を生きて楽しんでいる先達を見かける。ああなりたい、でもどうすればいいかわからない。もがいている間は多分ライオンなんだろうな。
そこを抜けたら、すべての自分を自分であると認めることが出来る。
今は未だラクダかも知れない。何も見えず、何も疑問に思わず、不安定で不確かな雲に視界を塞がれて、動かないラクダかも知れない。
あるいは真理の欠片を以て吠え猛るライオンかも知れない。必死でもがき苦しんで、自分を変えよう、変えようとしているのかも知れない。
そこを越えたときに、やっとこの雲の旅は終わる。
悲しみと苦しみを経て手に入れた確固たる「自分」は、次の旅へ向かう。
ということで雲のスートは終了。
次は虹のスートです。