昨日娘から聞いた聞き慣れない言葉
「醜形恐怖症」
「自分が汚く見えて仕方ない。
鏡を見ると吐き気がするし、お化粧しながら泣き叫んでしまう。
自分のことを友達は可愛いって言ってくれるけど、
どう見ても自分が可愛いと思えない。
自分から見える自分と回りから見える自分は違うのかもしれない。
自分の顔さえも本当の自分の顔なのか分かんなくなってる。
これって醜形恐怖症かもしれない。」
親バカかもしれないが
それなりに可愛いと思うし、160cm43kgのスレンダー。
声も「チャーミングだね~」って言われてきた。
母親の顔色を気にしながら生きてきたこともあって、
人の気持ちに非常に敏感で相手が「嫌だなあ~」って
思うような言葉は決して言わない。
容姿も性格もちっとも悪くないのに娘の心の中にある
「自分は可愛くないんだ。」っていう強迫観念が自分の顔すら
見えなくしているようだ。
中学入学してすぐに
同じクラスの男子二人に「キモイ」とか「○○のくせに」とか言われ続けた。給食の配膳で「お前がよそったオカズなんか食えるか。」と言われ、別の子がよそったおかずに取り替えられた。
箸を配ると水道で洗われた。
廊下を歩いてると壁に張り付くような仕草をされ、「おい、あいつが歩いてるじゃん。」と言われ避けられた。
毎日毎日言われ続けるうちに学校に行くのが辛くなり、保健室の常連になった。そのことが呪いのようにつきまとい、今の自分を好きになれない原因になった。
「パパ、リアルの友人にプリクラで撮った写真を見せて
『どれがリアルの私に一番近い??』って聞いたの。そしたら
(これは珍しく可愛いく撮れたな)って自分でも思う写真を指差すの。
でも私にはそう見えてない。本当の自分の顔さえもわかんない・・・」
先日も二人で笑って歩いていたら
「ねえ、パパ私の笑った顔、気持ち悪くない??」って聞く。
自分の顔のどこかが歪んで見えるのか・・・・
女優を目指す娘にとって顔がわからない事は
すごく怖いことではあるだろう。
先日、中学の卒業アルバムを初めて見た。
(高校入学やら、離婚やら、引越しやらが重なって忘れていた。)
ほとんど不登校だった娘がたまたま行った日が
写真を撮る日だったようでクラスメイトと同様に
ちゃんと証明写真のような顔写真が載っていた。
「そういえばお前を虐めていたやつ、どいつだ?」
娘が嫌々ながら指さした主犯格の二人。
それなりに大人になりつつある他の生徒に比べて
明らかに小学生のような顔つきだった。
僕が18歳の時アルバイトで入った今の派遣先。
日本を代表するようなカメラマンの先輩に
「自分の顔には責任を持て!」と言われたことがある。
「生き方で顔は変わるんだ。
顔にはお前の生き方が滲み出る。
どう生きてきたかでいい顔にもなるし、
嫌な顔にもなる。形、並びじゃない。顔ってのはそういうもんだ。」
苦しかった過去を飲み込んで、昇華して
人の痛みや苦しみに寄り添える自分になれたなら、
自分の顔のこと、きっと大好きになれる日が来るよ。