本当の豊かさ
ある日の事、とても裕福な一人の父親が息子と旅に出る事にしました。
父親は息子に、貧しい暮らしをしている人々の生活を見てもらい、彼がいかに豊かな暮らしをしているか感謝をして欲しいと思っていたからです。
二人は旅に出て、ある一軒のとても貧しそうな農家に泊めてもらう事にしました。
そして数日の間そこで過ごした後、お礼を言って家に戻る事にしました。
旅の帰りの道道で、父親は早速 息子に聞いてみる事にしました。
「旅はどうだったかね ? 」
「ああ、とても素晴らしかったよ、お父さん。 」
「お前は、あの農家の人達がどの様に暮らしているのか、見ただろう ?」
「ええ、勿論だよ。」と息子は答えました。
「そうか。それではこの旅で お前は何か気づいた事があったのかい ?」父親は期待を持ってたずねました。
息子が答えました。
「先ず、僕達は一匹の犬しか飼ってないのに、あの人達の家には四匹もいたよ。
僕達の家には、庭の真ん中まで続くプールがあるけど、あそこの家の前には小川が流れていて、ずっと果てしなく続いていた。
そして、我が家では夜になると庭にランタンを灯しているけど、あそこでは夜空に満天の星星がキラキラ耀いていたんだ。
それに、我が家には中庭と前庭しかないけど、あそこの家では見通せないくらいの広い草原が何処までも連なってたんだ。
僕達は食べる物を市場で買うけど、あの人達はちゃんと自分達で苗を育てて作っているし、僕達の家では僕達の世話を召し使いさん達がしてくれるけど、あの人達は他の人達の為に懸命に働いていました。
僕達の家は、塀壁で家を守っているけど、あそこでは、お友達や周りの人達が守ってくれているんですね。」
これを聞いた父親は唖然として、口が聞けませんでした。
それから息子は笑みを浮かべて、最後に言いました。
「お父さんに感謝します。僕達の暮らしがどんなに乏しいのか、よくわかりました。」
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引用元 : イスラミック オケイションズ
(イラスト含)
「100の訓話」より
９月ですね。残暑、台風等自然災害そして
御健康に気をつけて快適な月をお過ごし下さい。