交通事故被害で泣き寝入りしないために(1)~事故直後の現場保存~その3 | 交通事故に遭われた方へ

交通事故に遭われた方へ

交通事故案件を数多く受任してきた弁護士による情報提供ブログ

前回は、杜撰捜査の経験をお話ししました。

今回は、現場保存の具体的方法についてお話します。

 

〈事故発生直後の現場検証と現場の保存〉

まず、車両の停止位置、フロントガラス等の部品の散乱位置、ブレーキ痕・擦過痕を写真で撮影しておきます。最近はスマートホンのカメラの性能が向上していますので、周辺の状況も含めて動画で撮影しておくのもよいでしょう。

 

フロントガラスの破片はすぐに吹き飛ばされたり、後続車両の走行でさらに散らばってしまいますし、ブレーキ痕や擦過痕は時の経過とともに消失してしまうので、できるだけ早めの保存が重要になります。

また、道路や周辺の状況が工事等で変更されてしまうこともあります。

道路周辺の構造物によって道路の見通し状況も違ってきますので、事故当時の周囲の状況も撮影しておくとよいでしょう。

 

〈警察官や相手方、目撃者とのやりとりの保存〉

次に、警察や加害者、目撃者とのやりとりはボイスレコーダー、携帯電話等で録音しておいてください。

会話の中に事故直前直後の状況や目撃状況が含まれることが多いので、後日検証するときに役立ちます。

もし録音ができなかったときは、直後にメモしてください。いつ、だれと、どこで、どのようなやりとりをしたのかをできるだけ詳しくメモしてください。

このように記録化することで、言った言わないの水掛け論を防ぐことができますし、自分の記憶が薄れたり、間違った思い込みによる判断ミスも防ぐことができます。

 

〈加害車両、被害車両、ヘルメット着衣の損傷状況の保全〉

加害車両や被害車両、被害者自身が身に着けていたヘルメットや着衣の損傷状況の保全は特に重要です。

それは、これらが車両のスピード、衝突の角度、衝撃の程度といった受傷機転や過失割合を判断するうえで重要な証拠となるからです。

通常、警察が捜査の過程でこれらを写真撮影し、証拠物として保管することがほとんどですが、いつまでも保管してくれませんので、できるかぎり写真撮影しておいてください。

 

車両を撮影する場合は、

(1)前後左右から

(2)遠くから近くへ

(3)複数枚撮影し、

(4)各写真で撮影されている車両がすべて同じものであるということがわかるように

撮影してください。

 

このように撮影するのは、車体の傷がある部分のドアップの写真があるだけでは、それが被害車両なのかわからないからです。

必ずナンバープレートと損傷した箇所が同時に写っている写真を撮っておきましょう。

 

次は、警察や検察の取り調べについての対応についてお話します。