この記事は〈64〉の続きです。



大事なことをもう一つ。


このプール事故を機に、子ども家庭庁が全国の放課後児童クラブ等に対し事故防止策の有無などの実態調査をすると言いました。



ちょっと待ってください。



そもそも国が学童保育についての基準のほとんどを参酌すべき基準として曖昧にして、配置数や低賃金、保育環境整備など何一つ改善してこなかったんですよ。

自治体も国が示した参酌すべき基準をなぞっただけの条例を作って、何一つ改善をしてこなかったんですよ。

国と自治体が安全を担保できないような仕組み作りの大元を作ったのですよ。

実態調査も改善も必要なことです。

ただ、どの立場で何を偉そうに言うのかという感情は拭えません。

何なら筆者の自治体は、その調査は現場の職員まで下りてこないのではないかと思います。

現場の職員ではなく、自治体の職員が回答するのではないかなと思っています。


大事なことはもう一つ。

今回水の事故対策を問われていますが、筆者の放課後児童クラブにも策定はありません。

前任者から申し送られたことも無いし、資料を見たこともありません。

さらに無いものは他にもあります。

地震や津波、停電などがあった際の迎えを要請する基準や避難路といった防災対策も

不審者などの防犯対策も

熊や猪などの害獣が出た時の対応も

何も知りません。

何も知らないことのおかしさに気付いて、自治体に基準や策定事項があるのなら示してほしいと申し出ました。

申し出てから数週間経ちましたが、誰も何も教えてくれません。

勝手に策定するわけにもいきませんから、返答を待つしかありません。

現場の意見は聞かずに、自治体職員が勝手に策定して下りてくるだけかもしれませんけどね。


学童保育には危機管理能力が圧倒的に足りていません。

そして学童保育で各種危機管理のための安全対策を練る場合、児童の発達特性なども考慮した多角的な視野で考える必要があります。

指示が届かない子どもにどう説明するのか、どう誘導するのか。

停電や大雨で、怖がるどころかテンション爆上げになる子どもの静め方。

パニックになる子どもの落ち着かせ方。

フリーズする子どもの動かし方。

どんな声かけをするのか、定型発達児より具体的な検討が必要でしょう。

そして避難訓練や救護訓練を定期的に行う必要があります。


安全対策を練るということは、子ども達の命を守るだけでなく、支援員の命と立場を守るためにも重要なのです。