※発達障がいは現在神経発達症と言われています。
筆者は現在を認知が高まるまで移行期間中だと考えています。痴呆が認知症と呼ばれるようになったように。そのため、この記事ではこの注釈を前提に、敢えて発達障がいと表記します。



学童保育だけでなく、日本社会そのものがそうであろうと思うのですが、定型発達児や定型発達で大人になった者が多数で社会を動かすことが大前提となっているように感じます。

だから大人の発達障がいで悩む人がいるのでしょう。

療育を受けた受けないで、その後の困難感や自己肯定感、うつ病などの精神疾患発症の割合に影響が出ることも研究結果として出ているとも聞きますから、他の疾患で言う早期発見早期治療と同じように、早期発見早期療育の必要性がわかると思います。


では、発達障がい(神経発達症)があり療育を受けてきた児童、グレーゾーンで療育につながらずに小学生になった児童は、放課後児童クラブや学童保育所でどのように過ごしているのか。

お子さんが発達障がい、グレーゾーンの保護者の方も、自分の子どもは大丈夫だと思っている保護者の方も、ご存知ですか?

発達障がいがあろうと無かろうと、放課後児童クラブや学童保育所には様々な子どもが混在しているのは事実ですし、自分の子どもがそこを過ごしやすい場所と思っているかどうかは、親として知っておかねばなりません。

どう足掻いても仕事などで預けなければならないからとそこに目を瞑ってしまえば、自分の子どものメンタルヘルスに遅かれ早かれ大きな影響を与えてしまいます。



そもそも、放課後児童クラブや学童保育所の現在に至るまでの経緯を見ると、定型発達児の受け入れが前提となった基準ばかりであろうと、筆者は思います。

受け入れる児童数、配置する放課後児童支援員の数、他機関との連携など、全てがアンバランスで不十分です。

研修では、発達障がい児の受け入れの必要性や介入の仕方などがよくテーマに挙げられて学びますが。

公立は特にインプットしたものをアウトプットできない組織体系にあるため、現場の支援員が声をあげても自治体にあしらわれて実現しません。

本来ならば、気持ちの切り替えが上手く出来ない児童一人ひとりにどんな声かけや介入が望ましいか、教室にいられない児童にどう対応するか、自傷他害がある児童にどう対応するかなど、やらねばいけないことはたくさんあるはずです。

しかし、「ただ子どもを見ていればいい」とする自治体も多く、少人数の放課後児童クラブで質の向上を目指せば、「そこまでする必要ない」「ここより多人数のところはやってない。それでも子どもを見れている」と言われます。

ただ目で見るなら誰でも出来ます。それが傍観です。

知的な遅れがある場合はもちろん、知的な遅れが無くても、発達の凸凹が大きい場合には、適切な介入が必要となります。

聞くだけで理解が難しければ書いて見せる。

気持ちの切り替えが上手く出来ないなら、数十分前から声かけする。タイマーを使う。

片付け場所に名前をつける、色やマーク、写真をつける。

一度伝えて駄目なら二度、三度。言い方、言葉を変えて、場所を変えて。

これらの介入には時間を要します。

気持ちの切り替えに数十分かかる子どももいます。

加配が必要なはずなのに配置されないことも多々あります。

支援員が対応に一人とられます。支援員2人で20人見ていたとしたら、残った1人で19人に目を配ります。

出来ますか?

対応が必要な子どもは複数人います。

対応を迫られる事態が同時に起こることもあります。

定型発達の子ども達に目を配れないこともあります。

きちんと児童をアセスメントして介入など、現状の学童保育の基準ややり方では不可能です。断言します。



療育を卒業して、放課後デイサービスと併用して放課後児童クラブや学童保育所を利用する児童もいます。

正直、せっかく療育で積み重ねてきたのに、無介入な放課後児童クラブや学童保育所に入って、大丈夫なのかなと思ってしまいます。

積み重ねたものが急に0になることはないでしょうが、療育を卒業できたからといって定型発達のようなところまで引き上げられたわけでもありませんよね。

環境の変化や対人関係によって再び困難感を抱くこともありますよね。

そんな子ども達を"ただ見る"で良いのですか。

もったいないです。

せめて「こんな時にはこう介入していましたよ」と教えてくれたら、支援員による介入や環境整備を工夫しようがあるのに、誰も教えてくれない。

グレーゾーンに至っては、支援員がどんなにその特性に気付こうとも、支援の必要性を訴え発達支援センターに繋がろうとしても、「もう少し様子を見ては?」と、児童発達を学んでない自治体職員に言われて頓挫します。

グレーゾーンは、支援が無くても何とかやっていける状態ではありません。グレーゾーンこそ手を差しのべなければ、どの支援にも繋げてあげられない状態に容易に置かれます。

また発達障がい児一人ひとりへの介入も難しいですが、そういう児童が異年齢で複数人いる"集団"への介入も難しいです。

それも含めて発達支援センターに相談したいのに、現地視察してほしいのに、何も叶わない。

子ども達に向き合おうと頑張っても、勉強しても、結局は傍観しているのと変わらない現状になってしまう。

全然子ども達のためになってなくて、無力感に苛まれて、学童保育に、日本の保育・教育に、子育てに絶望しそうです。