[放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準]を見ても、そのほとんどの項目について「参酌すべき基準」となっています。

支援の目的すら。

[第5条]
放課後児童健全育成事業における支援は、小学校に就学している児童であって、その保護者が労働等により昼間家庭にいないものにつき、家庭、地域等との連携の下、発達段階に応じた主体的な遊びや生活が可能となるよう、当該児童の自主性、社会性及び創造性の向上、基本的な生活習慣の確率等を図り、もって当該児童の健全な育成を図ることを目的として行わなければならない。


児童一人あたりこのくらいの広さを確保しましょうねの設備についても。

[第9条]
放課後児童健全育成事業所には、遊び及び生活の場としての機能並びに静養するための機能を備えた区画(専用区画)を設けるほか、支援の提供に必要な設備及び備品等を備えなければならない。

2 専用区画の面積は、児童一人につきおおむね1.65平方メートル以上でなければならない。


放課後児童支援員を何人以上配置しましょうねの職員についても。

[第10条2]
放課後児童支援員の数は、支援の単位ごとに2人以上とする。ただし、その1人を除き、補助員をもってこれに代えることができる。

一つの集団の児童数はこれくらいにしましょうねの集団規模についても。

[第10条4]
第2項の支援の単位は、放課後児童健全育成事業における支援であって、その提供が同時に1又は複数の利用者に対して一体的に行われるものいい、1の支援の単位を構成する児童の数は、おおむね40人以下とする。

その他開所日数も開所時間も、災害対策も、衛生
管理も。もはやその存在意義すらということでしょうか。

あくまで最低基準であって、地域の特性を踏まえて柔軟に対応してねといったものかとは容易に想像できますが、これほど最低基準だけで成り立つ組織や制度にどれほどの信頼性、将来性があるのですか?

不安定極まりない骨格ではないですか?

保護者はそれで良いんですか?

この参酌すべきという一言で、基準はもはや言葉の意味を失わないのですか?


ここで言葉の意味を確認しておきましょう。

[参酌]

他と照らし合わせて参考にすること

[参酌すべき基準]

地方公共団体が条例制定の際に、国の法令を十分参照した上で判断しなければならない基準

要は国の法令をよくよく参照して、条例でも同様に定めなさいよというものだそうです。

地域の特性を踏まえて、良質な基準を設けられれば全く問題ありませんし、その方が地域密着型として成り立つでしょう。

しかし、その力量が地方自治体に無い場合、現場は悲惨な状況となります。

私の自治体の放課後児童クラブについての条例の場合、国のものの丸写しかなと思った条例でした。初年度に制定してその後は放置されているのだろうかと思いました。条例ってそんなものなのですかね。

法令の丸写しの基準を設けたとしても、地域の実情に合わせた基準を設けたとしても、参酌すべき基準は満たしているのか、改善の余地はどこにあるのか、どうあるべき姿に近づけるかを常に考えなければ、そこにあるだけの放課後児童クラブになってしまいます。