放課後児童支援員の資格を取る際に、最低限必要な制度設計や概念、理想は学びます。

ですが、それ以降現場に戻れば、年に一度の都道府県単位また年に一度の地方単位の研修がある程度です。

他に発達支援センター主催や民間主催などの研修会や講習の案内は年に数件きますが、必須ではないため意欲的な支援員は参加し、そうでない者は知識をアップデートすることなく保育を行い続けることとなります。

そもそも研修会自体が都市部で行われることが多いため、地方都市や町村部から参加するには高いハードルがあります。

参加費や交通費を想像して、時給働きで注ぐ金額や労力ではないと私は思います。

コロナ禍でリモート視聴が出来る講演会や研修会は増えたので、遠方からでも容易にアクセス出来る手段は今後も残すべきでしょう。


さらに問題なのは、無資格者についてです。


現状保育や教育の分野に身を置いたことが無くとも、容易に採用される無資格者。

私もその一人だったわけですが、本当に保育を甘く見た採用です。

現に事件や事故が起こっていますよね。保護者もこの採用状況について知って、危機感を持っていただきたいと思います。

さて、そんな無資格者が放課後児童支援員の資格を取るためには、勤務実績が所定の時間数以上になることが必要で、所謂扶養の範囲内で働くとすると2年以上はかかります。

しかし、その間に共に働く有資格者が教えてくれない限りは、学童保育が何たるものかについて知る術もありません。

私は働き始めて2ヶ月で、時給で子供をただ見ていれば良いものではないことに気がつきました。

自分の子どもへの躾や教育とも違う、保育の難しさに頭を悩ませる日々でした。

共に働く保育士に、保育とは、学童期の保育とは、学童期の補食(おやつ)とは、発達障がいとは、ありとあらゆる疑問を聞いてもらい、教えてもらったり、頻繁に学童保育の目指すものについてディスカッションしました。

彼らが放課後児童支援員の資格を取得した時の講習資料を読み、参加した研修会の資料を読ませてもらい、数少ない学童保育についての書籍を読み、発達障がいや子育てについての書籍も読みました。

科学的根拠やメカニズムをベースにする思考回路には、この保育という必ずしも明確な正解が無いことを考えるのが本当に、本当に難しいのです。

しかし、保育も医療も、教育、福祉という分野は、人の権利や尊厳を前にして、常に最善とは何かを考え続けることが何より大事な仕事です。

上司によっては、「ただ子ども達を見ていればいい、安全に保護者に返すことだけが大事。」と、考えることを放棄させようとしてくる者もいますから、それに屈せず、学童期の保育とは何かを考え続ける、学び続けることが、真に子供たちと向き合う支援員には求められるのだと思います。