放課後児童クラブで働き始めた私に、近所のおばあさんは言いました。

「子どもの面倒くらい誰でもみれるものね。」

こう言われた頃の私は、子ども達との距離の詰め方、信頼関係の築き方などを模索しながら、保育とは何ぞやと頭を抱えていました。

「色々な子どもがいるので、とても難しいですね。親になるってどういうことだろう?大人になるってどういうことだろう?と日々考えさせられます。ルールとかモラルとか自分自身にも問われますし、きちんと考えられないと子供たちにも教えてあげられないですからね。」

と返したら、目を丸くされたことを思い出しました。



放課後児童クラブ、学童保育は、子ども達の育成支援事業です。

発達はもちろん、自主性や社会性を育むためにあります。

私も働く前までそうでしたが、これらを共働き家庭が子どもを預ける場としか世間に認識されてないのはなぜですか?

支援員が受ける研修では学童期の子どもの発達や特性、障がいへの対応、質の向上など、学童保育のあるべき姿を学ぶのに、保護者はただ子どもを預けている。

何なら自治体などの設置者もただ子どもを預ける場、とにかく安全に保護者に返せればよいと思っているのです。

この学童保育が目指しているものと現実との大きすぎるギャップは、現場の支援員を疲弊させています。

いくら研修会で意欲的に学び、知識や技術をインプットして現場に戻っても、全くアウトプット、活かせないのです。

こんなに虚しい職種ってあるのかと、本当に悲しくなります。

何とか学んだことを子供たちのために活かそうと自治体の職員に掛け合っても、他職種(学校や発達支援センター)との連携など含め、保護者側としてもただ預けるというニーズしかないのではないかと言われる始末。

ニーズが無いから質の向上は不要と言わんばかりです。

学童保育について学べば学ぶほど、保護者が働く家庭が子どもを預ける場というだけの認識は、ミスリードなのではないかとも思えてきます。

学童保育が担う育成支援事業について、設置者や支援員が学ぶのは当然として、保護者や社会全体に対してもしっかり啓蒙することが必要であると考えます。

ニーズが無いから現状維持で。そんな組織はいずれ崩壊します。ましてや学童保育はそんな発展性の無い思考で行う分野ではありません。

ニーズが生まれる組織にならなければならないのです。

保護者としても、自分の大事な子どもを預ける場がどのような組織なのかをきちんと知ることが、子どもを守る大事な一歩なのだと知っていただきたいです。

預かってもらえるだけありがたい、働いているから預かってもらって当然、ではないのです。

学童期の保育は、子どもたちが成長する上で本当に大事な時期ですから。



余談ですが、私が勤める公立の放課後児童クラブは、正規職員で構成されていないとの理由で、組織図にも載らないんですよ。

責任の所在が明確になってないように感じて、私自身保護者として、自治体に対しとても嫌悪感、不信感があるのですが、皆さんはどうお感じになるでしょうか。