森の中を歩いていると、
ときどき、足を止める場所があります。
目的地でもなく、
目印があるわけでもなく、
ただそこに在るという理由だけで、
なぜか気になる場所。
今回の断片たちは、そんな場所から拾い集めたものです。
古い紙には、 地図のようなものが隠れている気がします。
どこへ向かうための地図でもなく、
誰かが残した記録でもなく、
それはただ静かに時間を積み重ねた痕跡です。
紙の端に残る染みや、 少し擦れた文字、
切り取られた模様の断片。
名前も由来もわからないまま残っている、それらを見ていると
落ち葉の下に埋もれた、小さな地図を拾い上げたような気持になります。
制作で使うために集めた紙片の中にも、
なかなか使えないものがあります。
気に入っているから、
まだ役目が決まっていないから、
あるいは、 このまま眺めていたいから、
そんな理由で残り続ける紙片たち。
今回の断片も、 まだ行き先が決まっていません。
どこかのジャーナルに入るのか。
標本箱の一部になるのか。
あるいは、 ずっと引き出しの中に眠ったままなのか。
それはまだわかりません。
けれど、 地図には載っていない場所にも、
小さな道は続いています。
森の断片集は、 もう少しだけ続きます。
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