**◆ 5章‑2
《再生の最初の音②
— 音の始まり》
森の奥で、音がひとつ震えました。
それは風でも、葉の揺れでもなく、
世界の深度そのものが動いたときに生まれる震えでした。
アニマルたちは、その震えに耳を澄ませます。
「この音、どこから?」
「深度の中心から……誰かが導いている。」
音は、ひとつの方向へ集まりはじめました。
まるで見えない糸に引かれるように、
世界の奥へ、奥へと流れていきます。
――「音は、ひとつに集まる。」
――「わたしが導く。」
バルナビーの囁きは、 まだ形を持たないまま、
音の粒をやわらかく束ねていきました。
彼の胸の奥には、 幼い日の記憶が静かに息をしていました。
緑のドアの向こうから流れた音。
世界の色を変えるほどの、美しい旋律。
あの音が、彼を指揮者へ導いたのです。
今、彼はその音を、
世界の再生のために束ねようとしていました。
語り手は静かに綴じます。
音は、世界を再び動かすための 最初の震えなのです。
世界はまだ静かで
音だけが先に目を覚ましていました。
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