腸と脳 | ほぼうさのブログ

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人間は他の動物と生物学的に比較すると、脳が大きいことが特徴である。チンパンジーなどが体重の1%の重さの脳に対し、人間は2%ほどだという。

 

こうやって書くと高々2%だと?1も2も大差ないだろ、と思われるかもしれないが、この2%が全エネルギー代謝の約20%を消費するらしいので、脳というのはとんでもない器官なのだ。だから、我々は食べ物によって得た栄養の大部分を脳のために確保しなくてはならず、そのせいで他の動物とは生活のスタイルを大きく変えなくてはならなくなっている。

 

数年前、子猫が釣堀でとれた小魚を丸のみする映像を見たことがある。猫の消化器系というのは本当に優れていて、生まれて1歳にも満たない子猫が、何も手を加えていない、自分の手と同じサイズの魚をたいして咀嚼せずとも消化して栄養に変えることができるのである。おそろしい。我々人間が同じことをしたら胃が負荷に耐え切れず5分かそこらでローゲーである。

 

実は、我々人間は一般的な哺乳動物よりも腸の長さが短い。それはなぜかというと、腸もかなりエネルギーのマージンを奪う器官なので、ここで欲張ると脳に栄養がいかなくなってしまうからだ。
人間に比べると猫はよく寝る生き物だと言われる。猫はこの寝てる時間の大半を、実際は丸のみした食べ物の消化に充てている。こうして考えてみると、動物たちの消化器系―脳のエネルギー関係には絶妙なバランスが備わっており、それによってその動物の暮らし方、生態が規定されるようである。

 

ところで、脳が大きく消化器にエネルギーを割けない人間たちの編み出した生活スタイルが「料理」と呼ばれるものである。これによって消化の効率を飛躍的に高め、腸がたいして頑張らなくても脳に充分な栄養がいきわたるようになっている。まさに人類の叡智というものがここにある。