先頭打者本塁打 リッキー・ヘンダーソン | ほぼ日刊ベースボール

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リッキー・ヘンダーソン
 




トップバッターというと一般的なイメージは俊足でとにかく塁に出られる打者、というのが思われるところである。そこから考えると、高橋由伸はセオリーから外れているように見える。



しかし投手の立ち上がりの不安定さ、のっけから点を取られる恐怖心等考えれば、パンチ力のある打者がトップに座るのは攻める上で非常に効果的でもある。

しかしたった一度のパンチ力だけクローズアップするのは軽率である。その後の打席はどうする?という疑問が当然成立する。というところで今年の巨人を考えると、高橋由伸の出塁率は4割を超えており、塁に出るという先頭打者の役割を充分に果たしているといえよう。



しかし、パンチ力があって、塁に出られて、走ることのできる選手がいたら、その選手は理想の先頭打者といっていいだろう。というところで忘れてならないのは、リッキー・ヘンダーソンである。



1979年6月24日にメジャーデビューを果たし、その年に33盗塁を記録した。翌シーズン100盗塁で盗塁王を獲得して以降、1980年から1986年にかけて7年連続盗塁王に輝いた。特に1982年には年間130盗塁という大記録を達成。それまでのメジャーの通算盗塁記録であったルー・ブロックの938盗塁を大きく上回り、(現時点で最後のメジャーでのプレイとなっている)2003年時点で通算1406盗塁を達成している。



盗塁の能力は特筆すべきものがあるが、驚くべきは打撃力。通算打率こそ.270台だが、出塁率は.401。イチローの通算が.380だからトップバッターとしての責務をいかに果たしていたか分かるだろう。



そして目を見張るのが先頭打者本塁打の数。通算81本。これも不滅の記録だろう。独特のクラウチングスタイルから四球を選ぶべくじっくりと待ち、好球が来たら逃さない。ボンズに抜かれたが、得点と四球の当時のメジャー記録は、ヘンダーソンの前はいずれもベーブ・ルースが保持していた記録であり、長らくアンタッチャブルな記録を破ったことの意義は非常に高い。



残念ながら守備はさほど上手くはなく、肩も弱い。よってレフトが定位置だったが、その攻撃能力を見れば歴代ナンバー1の先頭打者といって過言でないだろう。