フォークの使い手 | ほぼ日刊ベースボール

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野球選手の熱い過去や意外な背景を主な切り口に、野球への熱い想いを綴ります。

金剛


 







フォークと言えば野茂、佐々木、そして現在の日本球界で最高のフォークボーラーは上原浩治であろう。単純な落差で言えば野茂のそれには敵わないが、上原は制御不能と言われるフォークをコントロールよく操る。



縦の変化は元々バットに当てにくいと言われているが、打高投低のこの時代にあってマシンで練習できないフォークがどれだけ効果的なものなのか想像に難くない。












日本にフォークを導入したのは杉下茂である。その元祖のフォークがまたとんでもない代物だった。なんと無回転のフォークを投げていたのである。つまり効果としてはナックルと同じ。揺れながら縦にストンと落ちるのが杉下のフォークであり、杉下がフォークの神様といわれる所以であった。












その杉下をして、フォークを絶賛された投手がいる。



金剛弘樹。



過去何度もドラフト候補に挙げられていたが、2004年ドラフトで念願のプロ入りを果たした当時即戦力右腕である。帝京高では甲子園に1995年夏の優勝(エースは白木)も含めて2度出場。立正大学に進んでから150㎞をマークして一躍スカウトから注目されたが、2年生の時に右肘を故障してプロ入りの機会を逃す。大学卒業後は朝日生命硬式野球部で都市対抗野球にも出場。2001年12月に同野球部の廃部に伴い、日本通運に入社。同じく中日に入団することになる川井進とともに活躍した。












その金剛、2005年の春期キャンプで無回転の揺れて落ちるフォークボールを杉下に絶賛された。



しかしその年、思うような成績を挙げられず、今シーズンもまだ2軍でくすぶっている。フォークもこれだけ投げる投手がいると打者も慣れる。ボールの質だけでなく、上原のようにコントロールできる技術が大切なのだろう。



金剛もその技術が身についたとき、魔球使いとしてその名が刻まれるに違いない。