東野峻(巨人) | ほぼ日刊ベースボール

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野球選手の熱い過去や意外な背景を主な切り口に、野球への熱い想いを綴ります。

2004年ドラフト、巨人の7巡目指名は、茨城・鉾田一高出身東野峻投手である。

高校時点での背筋力が315kg、あの松井秀喜が240kgだったというだから驚きの数字である。

残念ながら、筆者はその投球を見たことがないので判断しかねるが、野球選手にいちばん必要ともいえる背筋力に天性のものをもっていることは、今後の成長を期待できる。

個人的にも、いわゆる馬力のある選手が少ない印象の現代野球において非常に楽しみな選手でもある。



さて東野の出身である鉾田一高、この高校には10年に一度、豪腕投手が誕生するという伝説がある。



遡ること約10年前、北山雅也という投手が存在した。

高校時のMAXは144km/h、筋力トレーニングが高校野球の現場に導入されるかされないかの当時、この数字は全国でもTOPに匹敵する数字である。最高位は確か秋の関東大会1回戦だったと思うが、現巨人・斉藤宜之、元横浜・紀田、現横浜・多村がクリーンナップだった当時の甲子園優勝候補筆頭の横浜高校と延長11回、3対2のサヨナラ負けだったのだからその豪腕ぶりが想像される。

投球練習でどよめきの起こる選手はなかなかいないが、彼の場合、投げる前は観衆が沈黙し、投げ終わると観衆がどよめいた。

彼はプロも嘱望されたが、身長175cmあったかないかで体に恵まれず、当時のヤオハンジャパンに進んだ。

その後の進路が不明のため、今でこそどうなったかは分からないが、真っ向から投げ下ろし、まさに唸りを上げてキャッチャーミットに飛び込むその豪腕ぶりは、打者にとってみれば脅威以外の何者でもなかったろう。



あと5cm身長があったら…、野球の世界に「たら、れば」はないと言われるが、筆者にとって非常に夢見たくなる選手だった。