豆の料理って、周りにあまりない。
育った家庭では、豆料理は納豆と塩茹での枝豆か落花生くらいしか出なかった。
あと、小豆の甘いの。
嫌いじゃあないけれど、大好きってほどでもないんだよね。
豆は、生まれ育った所の人達たいして好きじゃなかったし、夫も娘も嫌いだし、
私は、料理自体があまり好きじゃあないし、母や、30代に勤めていた介護の会社やの、周囲の人達には料理教室をしてほしと言われる程度にはやるけれど、
料理自体は夫の方が楽しそうにやる。
だから一人暮らしの時もわざわざ一生懸命には作らなかった。
のだめカンタービレのカレーみたいに、ポトフを大量に作り、それを一週間とかで食べていた。
食べるのは好きだけど、娘ほどこだわりはなく、高マズじゃなきゃいい。
で、自分が好きな食べものをよく分かってなかった。
いや、一応社長令嬢だったから、そこそこ美味しい食べ物は並んでいたが、
良い食べ物が好きかどうかっていうのとは違うから、
40近くになるまでは、自分が好きなもの一位を知らなかった。
だって、なかったから分からないじゃん。
他人の並べる、上等な肉魚、高級な食材が好きとは限らない。
豆だった。
みんなが嫌いな豆だった。
塩だけのシンプルな味付けの豆だった。
好きな食べもの、納豆、あと伝六の揚げピーナッツみたいな塩味の、
あとこれ、塩と胡椒だけの味付けのシンプルポークビーンズ。
豆の旨味を増幅する為だけに、玉ねぎの甘味少しと、動物性アミノ酸だけの為のチョッピリのひき肉だけ入れば良い。
毎日でいい。
三食これだけで良い。
主食にしたい。
体調までいいし、満足感半端ない。
一人になれる環境があり、自分の為に時間を使えるようにならなければ、私は自分の為にメニューを選ぶことも、あまり無かったと気づく。
美味い地物の魚の刺身や、血の滴る様な赤身のステーキや、天ぷらフライドポテトなどの塩と油と炭水化物のコラボも、生クリームたっぷり洋菓子に、焼肉、ラーメン、こってりビーフシチューや、クリーミーなグラタン、チーズだらけねピザに、バターたっぷりの……とにかくエトセトラエトセトラ、あれば喜び、食べまくりますけどね。
私一人だったら、毎日豆のスープが良い。
たまに上のがあればいい。
副菜は、千切った野菜や果物のサラダで、味付けは少々の塩と良い油があればいい。
自分の為だけに、ポークビーンズを作れる様になって、一人だけポークビーンズを貪り食べて、
ああ〜、やっとまた少し大人になれたと思った。