ああやって、自分で役を掘り下げて背景を広げるのは大事。その役の履歴書を作ってその役を理解できれば、本から外れても自由に話し、動き回れる。


例えば、千之助は、「客」ではなく「お客さん」と言うようにした。怒って怒鳴るときも、どんな時も。これは、"役者というのは、お客様に生んでもらって、育ててもらって、そして看取ってもらう、そういう生き物"だと気付くことになる重大な出来事があった(ことにした)。だから千之助は自分たちの事情なんか二の次。思いは常に"まずお客様に喜んでいただくために" 。それがワガママで横柄に見える千之助の正義だということにした。

 
その一番当たり前で大事なことに気付く前の若かりし頃の千之助は「客」と言うようにした。


 そんな皆さんにとってどうでもいいようなもの😁、を含め、演者やスタッフが脳からも身体からも汗水を流しながらドラマに仕込んだすべての細かい仕掛けが、お茶の間のすべての"お客様に喜んでいただくために"の思いひとつなのです。