カルロ・ロヴェッリという物理学者が『時間は存在しない』という本を出しています。非常に興味深く読んだ人もいると思います。(以下)↓
カルロ・ロヴェッリは、量子ループ重力理論と言う非常に難しい理論を研究している物理学者ですが、この量子ループ重力理論においては方程式に時間変数が存在しておらず、この辺を起点としながら、物理次元に時間が存在しない理由を本書で説き明かしています。
時間が存在しないとは?
果たして時間は存在するのか、しないのか?
私の認識では、カルロ・ロヴェッリの言う通り、時間は存在しないと思います。その意味はどういうことかというと、次の通りです。
まず最初に、私たちは通常、過去、現在、未来と流れる時間のチューブを考え、私たちはこの永遠に続く時間のチューブの中の今現在という地点を通過している。そのように考えていると思います。おそらく多くの人がそう考えていると思います。
しかし、本当は、このような時間のチューブなど存在していないのです。時間のチューブは人間の幻想です。
時間のチューブが存在しないという事は、過去の履歴が存在しないという事です。通常は、時間のチューブの左の先に過去という時点が存在する、そのように過去履歴として保存されていると思うでしょうが、そうではありません。そのような過去履歴は存在せず、時間のチューブも存在しません。
そうではなく、常に、一点の今現在しか存在しないのです。物理次元は、過去履歴や未来は存在せず、今現在という一点しか存在しません。今も昔も永遠に、物理次元は、今現在という一点しか存在しません。
それが時間は存在しないという意味です。
この辺は以下のアウグスティヌスの時間論でも話をしました。ご参照ください。
しかし、確かに時間を感じるが・・?
さて、今時間は存在しない、と言いましたが、しかし、私たちは確固たる時の流れを感じます。
それはどう説明可能なのか?
それは、こういうことです。時間の流れは意識次元において感じているのです。意識において、時の流れを保存する機能(記憶)が存在し、この機能によって物事の因果関係を保存し、思い起こすことができるがために、それを時間の流れとして感じているのです。
物理次元においては、時間は存在しませんが、物事が変転することによって物理次元において時の流れを表現し、それを意識次元において時間の流れとして認識しているということです。つまり、時間は、物理次元と意識次元の双方の協力関係によって創造されているということです。
ですから、「時間は存在しない」と言っている時間という言葉自体も本当は多義性を有しているのです。ここで記載している以外にもあと1つか2つ時間の別の定義が存在しています。
カルロ・ロヴェッリが言う「時間が存在しない」の時間は、「物理次元の時間」のことを言っており、しかし、一方で確かに時間の流れは存在し、それは「意識次元の時間」のことを言っているわけです。
この辺は、地球系では、まだ時間認識がここまで上がっていないので、時間に関する適切な言葉が整備されていないのです。もう少し後になれば、人類の時間認識も上がり、この辺の時間を表す言葉も整備されていくことでしょう。
詳細は、以下『心の物理学2』等をご参照ください。
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