ついに東京オリンピック開幕 🔆
天皇陛下のご臨席を仰ぎ、ここに、東京2020オリンピック競技大会の開会を迎えるにあたり、ご挨拶を申し上げます。
IOCバッハ会長はじめ、委員の皆さま、各国からご列席賜りましたご来賓の皆さま、この開会式をご覧になっている世界の皆さま、日本へようこそ、ようこそ東京へ。
心から歓迎申し上げます。
東京大会は、オリンピック史上初の延期という大きなチャレンジの中で、本日、開幕します。
多くの方々の手によって、一つ一つ、希望が繋がれ、今日この日を迎えました。
世界中がコロナ禍の厳しい状況にある中、医療従事者の皆さまをはじめ、この困難を乗り越えようと日々尽力されている全ての方々へ、敬意と感謝を申し上げます。
そして、この大会の開催を受け入れていただいた日本の皆さま、開催実現のために、ともにご尽力をいただいたIOC、日本国政府、東京都、関係者の皆さま、ありがとうございます。
振り返れば、東京にオリンピックを迎えようとしていた10年前、東日本大震災によって、私たち日本人は大きな困難と、深い苦しみの中にありました。
立ち上がり、前に進む力も失いかけていました。
その時、世界中の方々が手を差し伸べてくださいました。
「さあ、共に前に進もう。」と。
今、あれから10年が経ち、私たちは、復興しつつある日本の姿を、ここにお見せすることができます。
改めて、全ての方々に感謝申し上げます。
あの時、社会においてスポーツとアスリートがいかに役割を果たすことができるかが問われました。
そして、こんにち、世界中が困難に直面する中、再びスポーツの力、オリンピックの持つ意義が問われています。
世界の皆さん、日本の皆さん、世界中からアスリートが、五輪の旗の元に、オリンピックスタジアムに集いました。
互いを認め、尊重し合い、ひとつになったこの景色は、多様性と調和が実現した未来の姿そのものです。
これこそが、スポーツが果たす力であり、オリンピックの持つ価値と本質であります。
そしてこの景色は、平和を希求する私たちの理想の姿でもあります。
オリンピックとともに、休戦決議期間が始まりました。
平和という理想に、まだ遠い現実に生きている人々にとって、わずかでも、平穏を求める救いとなるのではないでしょうか。
これもまた、オリンピックだけが持つ、重要な価値であります。
今この瞬間も戦火に苦しみ、紛争に翻弄されている人々に対して、平和の祈りを捧げます。
アスリートの皆さん。
この舞台に集まっていただき、ありがとうございます。
困難な中でも決して立ち止まることなく、前を向いて、努力を続ける姿に、私たちは励まされて今があります。
同じアスリートして私は、世界の全てのアスリートを誇りに思います。そして讃えたいと思います。
自らを信じて、一心に進んできた、これまで皆さんが描いてきた軌跡は、自分自身の未来に、大きな、そしてかけがえのない宝物になります。
自信を持って舞台に上がってください。
今こそ、アスリートとスポーツの力をお見せするときです。
その力こそが、人々に再び希望を取り戻し、世界を一つにすることができると信じています。
世界は皆さんを待っています。
私たち組織委員会は、半世紀ぶりとなるこの東京大会が、後世に誇れる大会となるよう、最後までこの舞台を全力で支えてまいります。
ありがとうございました。