先日、子宮頚がんと葉酸の関係についてブログを書きました。



今回も葉酸と子宮頚がん/異形成の関係について、見ていきたいと思います。






この論文では、赤血球中の葉酸濃度と子宮頸部異形成/子宮頸がんの関係を調べています。




対象

高度異形成と診断された40人と、子宮頸がんと診断された65人。病気の診断をされていない120人を対照として比較しました。


結果

血清中の葉酸濃度は、どの群でも明らかな違いはありませんでした。


赤血球中の葉酸濃度は、


・対照群: 307.27 ± 122.95 ng/ml

・高度異形成: 306.52 ± 189.77 ng/ml

・子宮頸がん: 285.42 ± 125.74 ng/ml


と、赤血球中の葉酸濃度が低いほど、子宮頸がんのリスクが高くなる傾向がありました。



※葉酸濃度: 血清中と赤血球中の違い

葉酸は摂取してから2時間後に血中でピークを迎え、6時間後には半減するため、血清中の葉酸濃度は採血時間の影響を強く受けます。

一方で赤血球中の葉酸濃度は安定した経過を辿るため、葉酸の評価をするのに適しています。





子宮頸がん/異形成に葉酸が関係している可能性は高そうですが、実際に「治療目的」で葉酸を使っている報告がないか調べてみたところ、人数は少ないですが、検証している報告が見つかりました。






対象

軽度異形成と診断された18〜55歳の女性58人。5mg/日の葉酸サプリを内服する29人と、プラセボを内服する29人に分かれてもらい、6ヶ月間観察しました。



結果

軽度異形成が改善した割合


・葉酸群: 83.3%

・プラセボ群: 52.0% 


と、明らかに葉酸群で改善率が高い結果でした。



軽度異形成は、自然に改善する確率が高いので、基本的には何も治療せずに経過観察することになるのですが、葉酸を内服するだけで、これだけの改善率が期待できるのは非常に興味深い結果ですね。







対象


中等度/高度異形成と診断された肥満女性60人。12 週間にわたり5 mg/日の葉酸サプリメントを摂取する群30人、またはプラセボ群30人にランダムに分かれてもらいました。


結果


中等度/高度異形成の再発

・葉酸群: 3.3%

・プラセボ群: 16.7%


と、葉酸摂取群の方が再発率が低い傾向がありました。





具体的な葉酸摂取量に関しては、次回のブログに続きます。