先日、産後うつに対してデクスメデトミジンという麻酔の薬を使うことで改善するのではないか、というブログを書きました。





出産直後に麻酔薬を使うことで産後うつが改善する、というのは非常に興味深い内容だったのですが、産後うつに対する治療を調べる中で、同じように出産直後に麻酔薬を使う報告を見つけたのでご紹介したいと思います。







この論文では、無痛分娩で用いる硬膜外麻酔からロピバカインとエスケタミンという麻酔薬を用いることで、産後うつが改善するか検証しています。



対象

硬膜外麻酔で無痛分娩を行なった24〜36歳の女性120人


エスケタミン群は、20mlのロピバカインに0.2mg/kgのエスケタミンを加え、コントロール群はロピバカインのみ使用しました。


結果

麻酔開始後5分、10分、20分での痛みの強さはコントロール群よりエスケタミン群の方が明らかに低い結果でした。


産後1週間と6週間での産後うつも、エスケタミン群の方が明らかに少ない割合でした。


出産時間やアプガースコア(赤ちゃんが元気な事や長期的な神経予後を表す指標)、産後出血、産後48時間での副作用については両群で同等でした。


以上のことから、出産時にエスケタミンを使用することで産後うつのリスクを下げられる可能性があると言えそうです。



産後うつに対するアプローチとして、分娩中や産後すぐに薬を使うと言う視点は非常に新鮮であり、私自信が出産に関わっていた時には、ほとんど聞いたことがありませんでした。


出産の現場で取り入れられて行くかどうかは非常に難しい問題ではありますが、産後早期からの対策が少しずつ進んでいくといいですね。