子宮筋腫や子宮腺筋症などで子宮を摘出することになった時、50歳近くて閉経する時期を考慮して、子宮と一緒に付属器(卵巣と卵管)も摘出する事があります。


そこで、今回は子宮と一緒に付属器を摘出した場合の長期的な影響について見ていきたいと思います。





この論文では、2015年から2022年にかけて「子宮摘出に併せて付属器切除した人」と「子宮摘出した際に卵巣は残した人/手術を受けなかった人」とを比較しています。




結果

50歳未満での付属器切除によって、乳がんのリスクは0.78倍と減ったものの、大腸がんのリスクは1.27倍に増えていました。



それに加えて、心血管疾患: 1.18倍、冠動脈疾患: 1.17倍、脳卒中: 1.20倍とリスクが高くなっていました。



また、脂質異常症: 1.44倍、糖尿病: 1.16倍、高血圧: 1.13倍、認知症: 1.70倍、うつ病: 1.39倍となっていました。



このように、50歳未満で子宮摘出する際に、一緒に卵巣を摘出することには、様々なメリットとデメリットがある可能性が考えられます。



メリットとして乳がんリスクが下がる事や、それ以降に卵巣癌になるリスクを考えなくて良くなる、というのは大きなポイントになります。


一方で、卵巣を摘出した時点で閉経することによる更年期症状や、今回出てきた様々なリスクが考えられます。



これらを踏まえて、子宮摘出する際に卵巣を残すかどうかを選んでもらう必要がありますね。



ちなみに、卵巣癌の予防という観点から考えると、以下のブログのように卵巣は残して卵管のみ切除する、というのも一定の効果が期待できそうです。




以上のように、子宮のみ摘出する、卵巣も一緒に摘出する、卵管のみ一緒に摘出する、と言った様々な選択肢があり、主治医の先生とよく相談してみてくださいね。