先日、生理痛や避妊のために使う「ミレーナ」について、自然に出てきてしまうリスクについて説明しました。



そこで今回は、ミレーナの有効期限が5年間と言われる中で、それ以上の期間使ったらどうなるか、というデータが出てきたので、見ていきたいと思います。







この論文では、ミレーナを5年から8年使った場合のデータを検証しています。




対象となったのは、18〜35歳で4.5〜5年間ミレーナを使用している362人の女性です。そのうち、243人が検証に参加し、223人が8年間使用継続しました。


平均年齢は29.2歳で、8年間継続した人は全員36歳以下でした。


観察期間中に2例の妊娠がありました。



1例はミレーナ使用6年目で、妊娠部位がわからないまま自然流産となりました。


これは、化学流産と言って、妊娠に伴うホルモンだけが出て、子宮の中に妊娠成分を確認できないまま生理がきてしまう状況かと思われます。



もう一例は、ミレーナ使用7年目で異所性妊娠となりMTX療法という注射で治療されました。


どちらの方も、妊娠を機にミレーナを取り出して観察グループからは外れました。




ミレーナ6年目から8年目にかけてのパールインデックスは0.28で、3年間の累積妊娠率は0.68%でした。


※パールインデックス

100人の女性が1年間で何人妊娠するかを表した数。


・避妊しなかった場合: 85


・コンドーム: 2〜18


・ピル: 0.29


・ミレーナ: 0.1〜0.4




ミレーナ継続年数によってパールインデックスを比較すると、


・6年目: 0.34


・7年目: 0.40


・8年目: 0.00


と、いずれもミレーナ5年間の使用期間内とほぼ同じ避妊効果を示していました。



ちなみに、6年目から8年目までの3年間での異所性妊娠を起こすパールインデックスは0.14と、こちらもかなり低い確率となっていました。




観察期間中に有害事象が生じたのは、362人のうち249人(68.8%)で、そのうち65人(18.0%)はミレーナに関係したものと考えられました。




継続中止したのは38.4%(362人のうち139人)で、最も多い理由としては妊娠希望が12.2%(362人のうち44人)でした。



ミレーナ継続5年から8年にかけて、出血する日数は減っていき、約半数の女性が無月経もしくは稀に出血する程度になりました。



8年の観察期間終了時点で、98.7%(223人のうち220人)はミレーナ継続に満足していました。妊娠希望から早期にミレーナを中止した31人のうち、24人は1年間の間に妊娠しており、1年間の妊娠確率は77.4%でした。





結論


ミレーナを5年間継続した人は、8年間に使用期間を延長しても、高い避妊確率と安全性、高い満足度を維持できることがわかりました。



出血パターンに関しても、8年間継続使用で困るようなケースは少なく、ミレーナを5年以上使う希望がある人にとっては、8年まで継続する選択肢は考慮しうるものでした。





このように、製薬会社の規定により5年までと言われているミレーナですが、5年を超えての使用もかなり有意義である事が伺えます。




現実問題として、5年を過ぎて使用していた時に、何らかの副作用があると、「製薬会社が決めたルールを守っていない」という点から補償が受けられない可能性はあるのですが、うっかり5年を超えたとしても、急激に効能が落ちていく、というものではないと言えそうですね。