生理痛の原因として挙げられる子宮内膜症には、卵巣が腫れるタイプのものがあります。
チョコレート嚢腫や内膜症性嚢胞などと呼ぶのですが、卵巣の中に古い血液が溜まってしまい、大きくなり過ぎたり、生理痛が強い時に手術の適応になる事があります。
そこで、今回はこの内膜症による卵巣の腫れに対して外科的治療をした場合の、その後の妊娠に関するデータを見ていきたいと思います。
この論文では、卵巣の腫れが3cm以上ある363人を「プラズマ焼灼群」「嚢腫摘出群」「嚢腫を刺して中身を吸引した群」に分けて、術後の妊娠率を比較しています。
プラズマ焼灼群は204人(56.3%)、嚢腫摘出群は121人(33.3%)、穿刺吸引群は38人(10.5%)でした。
術後の観察期間は平均50ヶ月で、全体での妊娠率は60.3%でした。
術後1年間での妊娠率は、プラズマ焼灼群: 32%、嚢腫摘出群: 27%、穿刺吸引群: 16%でした。
以上のことより、穿刺吸引するよりも、焼灼したり嚢腫摘出する方が妊娠確率が高くなる事が伺えます。
内膜症で卵巣が腫れている場合、手術によって残される卵巣へのダメージは最も気をつけないといけないポイントになります。
そのため、焼灼する場合は正常な卵巣への影響を考え、嚢腫摘出する場合も正常な卵巣組織を出来るだけ残すように気をつけます。
そういった点に注意した上で手術をすれば、中身を吸うだけの穿刺吸引よりも、妊娠確率を高く保つ事ができると言えそうですね。