先日、不妊治療で生まれた子供の発達に関してブログを書きました。


5歳半での発達に、不妊治療の影響はなかった、という結果でしたが、今回は不妊治療で生まれたことによる健康への影響を「入院」という点から評価した論文を見ていきたいと思います。






この論文では、出産前後の診断とは関係のない、何らかの原因による入院と生殖補助医療(体外受精や顕微授精)の関係を調べています。




対象となったのは、1997〜2009年に不妊治療で生まれた63,877人と、その兄弟姉妹の中でも自然妊娠で生まれた子供たち11,343人、そして彼らと家族関係のない自然妊娠で生まれた127,544人です。




平均して12.9年間フォローしたところ、最初に入院した平均年齢は6.5歳でした。




不妊治療で生まれた子供は、自然妊娠で生まれた子供と比べて、入院リスクが1.08倍でしたが、自然妊娠した兄弟姉妹とは差がありませんでした。




自然妊娠と比較して入院リスクが上がった原因としては、悪性新生物(主に癌のこと)、呼吸器疾患、筋骨格系疾患、消化器疾患、泌尿生殖器系疾患が挙げられました。


一方で、外傷、中毒に関してはリスクが低くなっていました。




顕微授精で生まれた子供は、体外受精で生まれた子供より入院リスクは低くなっていましたが、新鮮胚移植と凍結融解胚移植の間では差がありませんでした。




以上のように、体外受精での妊娠ではやや入院リスクが高くなっているものの、自然妊娠した兄弟姉妹では差がないことを考えると、子供そのものに原因があるわけではない事がわかります。




例えば、なかなか妊娠しなかった結果として、やっと妊娠できた親が、より子供の健康状態に気を配りやすい、という原因などが考えられます。




そうは言っても、リスクが1.08倍と、それほど大きな違いではないので、あまり気にしなくてもよいのかな、という印象ですね。