先日、陣痛促進剤を使う初産の方に対して、早く破水させた方がいいかどうか、という論文をご紹介しました。




結論としては「帝王切開の確率を上げる事なく、分娩時間を短く出来る」事がわかったのですが、今回は「初産」ではなく「経産婦さん」での論文を見ていきたいと思います。








この論文で対象になったのは


・経産婦さん


・バルーンカテーテルというものを使って子宮の出口を3cm以上に広げた方


・単胎(双子や三つ子など多胎では無いということ)


・頭位(逆子ではないということ)


・赤ちゃんが元気であること


という条件を満たした232人です。



232人のうち、一方は「陣痛促進剤を使ってからすぐに破膜する群」、もう一方は「陣痛促進剤を使ってから4時間後に破膜する群」に分かれてもらいました。



まず、促進剤を使ってから出産するまでの時間は、すぐに破膜する群: 4.99時間、4時間後に破膜する群: 6.23時間と、すぐに破膜する群の方が明らかに短くなっていました。




次に、促進剤を使ってから4時間後と6時間後に出産している確率を比較すると、


・4時間後

 すぐ破膜: 35%    4時間後に破膜: 19%


・6時間後

 すぐ破膜: 66%    4時間後に破膜: 47%


と、すぐ破膜する方が、いずれの時間でも生まれている確率が高くなっていました。




一方で、帝王切開率は、すぐ破膜: 15%、4時間後に破膜: 16%と変わりませんでした。



妊婦さん自身の満足度は、すぐ破膜: 6〜8点、4時間後に破膜: 7〜8点と、すぐ破膜する方が低い点数となっていました。



すぐに破膜する方が分娩時間が短いのに、妊婦さん自身の満足度がやや下がるというのは少し不思議な気がしますが、既に出産経験がある分、医療的な介入がなくても出産できると思って、早期介入にマイナスイメージを持つのかも知れませんね。



いずれにせよ、この辺りは病院によって方針がまちまちだったりするので、希望がある場合は、妊婦健診中に相談してみて下さいね。