健康診断で「ポリープ」を指摘される方は結構多いのですが、婦人科の「ポリープ」には2種類あります。
一つは「子宮頸管ポリープ」
これは腟の一番奥に見える、子宮の出口部分にできるポリープで、細ければ外来で簡単に切除する事が可能です。
そして、もう一つは「子宮内膜ポリープ」
これは子宮の奥にできるポリープで、超音波検査で見つけられます。
これらのポリープは、基本的には良性腫瘍なのですが、切除して調べてみたら癌だった、ということが稀にあるのです。
子宮頸管ポリープでしたら外来で簡単に切除できるので、良性か悪性かの診断をつける事は容易なのですが、子宮内膜ポリープの場合は、子宮鏡という非常に特殊な機械が必要となるため、簡単には調べる事ができないのです。
そこで今回は子宮内膜ポリープを切除する前に、良性か悪性かを判断する方法について、論文をご紹介したいと思います。
こちらの論文では、内膜ポリープを切除する前に「ソノヒステログラフィー」という検査でポリープの大きさを測り、前がん病変/癌との関係性を調べています。
ソノヒステログラフィーという検査は、子宮の中に水を入れて超音波で検査し、水の中に浮いているポリープを観察する検査です。
対象となったのは、ソノヒステログラフィーを行った365人。内膜ポリープの最大径を計測し、病理結果によって良性、前がん病変、悪性に分類しました。
その結果、全体では7.4%が前がん病変、0.9%が悪性の診断でした。
ポリープのサイズは、良性では平均17.7mm、前がん病変/悪性では平均23.7mmでした、
ポリープの大きさ別に「0〜10mm」「10〜20mm」「20〜30mm」「30mm以上」と分けて検証すると、前がん病変/悪性の比率は
0〜10mm: 0.0%
10〜20mm: 4.8%
20〜30mm: 13.3%
30mm以上: 18.8%
と、ポリープが大きくなるにつれ、悪性の可能性が高くなる結果でした。
以上のことから、10mmより小さい内膜ポリープは経過をみて大丈夫そうですが、22.5mmを超えてくるポリープでは、子宮鏡での切除を検討した方が良さそうだ、という結論になりました。
ちなみに、今回出てきたソノヒステログラフィーという検査は、保険適応がない検査なので、自費で行う検査となります。
内膜ポリープに対して自費の検査を行うと、その他の超音波検査や顕微鏡で見る病理検査も全て自費で行う事になり、全部で数万円かかってしまうのが難点です、、、
ソノヒステログラフィー検査が保険適応となればいいのですが、現時点では超音波検査でおおよその内膜ポリープの大きさを測り、2cmを超えてくるようなら、切除を検討する、といった方針が現実的なところです。
いずれにせよ、健診でポリープを指摘されたら、切除や経過観察が必要となりますので、そのまま放置せずにしっかりと婦人科を受診するようにし下さいね。