生理痛に対して使う鎮痛薬として、ロキソニンやボルタレンと言った薬が有名ですが、「ブスコパン」という薬が効くこともあります。



この薬は、筋肉の収縮を和らげる作用があるため、生理の時に子宮が収縮する力に働きかけ、痛みを軽くする効果が期待できます。



この「ブスコパン」という薬を出産時に使うことで、分娩時間が短くなるという論文があるのでご紹介したいと思います。




この論文で1,448人の検証をしたところ、陣痛が開始してから子宮の出口が全開するまでの時間が61.1分短くなっていました。



ブスコパンを使う事で、帝王切開や器械分娩、産後大量出血やアプガースコア(生まれた時の赤ちゃんの元気さを表す指標)に違いはありませんでした。



また、こちらの論文でも同じようにブスコパンの効果を検証しています。


こちらは対象となったのが126人の初産婦さんと、少し人数が少ないのですが、ブスコパンを注射する群と注射用蒸留水(何の効果もない水)を注射する群に分けて検証しています。



その結果、陣痛開始から子宮の出口が全開するまでの時間は、


ブスコパン群 324.9分


注射用蒸留水群 392.7分


と、やはりブスコパンの方が60分近く短くなる結果となりました。



子宮の出口が広がるスピードは、注射用蒸留水が1時間に1cm程度だったのに対し、ブスコパンでは1時間に1.4cm程度でした。



以上のことから、ブスコパンには子宮の収縮を軽くして生理痛を楽にする作用があるのに加え、出産の時には子宮の出口部分の筋肉を柔らかくして、出口が広がるスピードを早め、出産時間を短くする効果があると言えそうです。

 


生理痛だけじゃなく出産の時にも役に立つ、非常に有用な薬と言えますね。