先日、胎盤が剥がれにくい「癒着胎盤」の治療法についてブログを書いたのですが、今回はどういった場合に癒着胎盤のリスクが高くなるかを調べた論文をご紹介したいと思います。
対象となったのは、2012〜2019年にかけて出産した37,461人の女性です。
5,464人(15%)は帝王切開の経験があり、281人(0.7%)は前置胎盤がありました。
前置胎盤というのは、子宮の中で胎盤の位置が低いため、経腟分娩が出来ずに帝王切開が必要になる状態です。また、統計的に前置胎盤の場合には癒着胎盤になるリスクが高くなると言われています。
体外受精での妊娠は、571人(1.5%)、癒着胎盤と診断されたのは230人(0.6%)でした。
癒着胎盤となる各々のリスクを調べると、体外受精では8.7倍、帝王切開の経験は21.1倍、前置胎盤は94.6倍でした。
過去に帝王切開をした回数を揃えて調べると、体外受精のリスクは6.7倍でした。
このように、前置胎盤や帝王切開のリスクと比べるとそれ程のリスクではないものの、体外受精も癒着胎盤のリスクになり得ることがわかりました。
癒着胎盤は出産の前に全くわからないこともあり、万が一、出産時に判明すると大出血してしまうリスクがあります。
体外受精で妊娠された方は、そういった点も分娩施設を選ぶ基準の一つにしてみて下さいね。