どうしても婦人科を受診するときにハードルが高くなってしまう理由の一つに
内診
があると思います。
私自身、直腸診といってお尻の診察を受けた時に、やはり他人にお尻を見せることには緊張しましたし、女性なら尚更のことだと思います。
そこで、当院の方針として、問診表に「内診は受けたくない」という項目を作っています。
そこにチェックをつけてもらえれば、極力内診をせずに診察いたします。
例えば、子宮や卵巣を診察するためには、やはり内診による超音波検査が精度が高く、手軽に出来る検査になります。
しかし、例えば手術が必要になるほど大きく卵巣や子宮が腫れていれば、お腹の上からの超音波でも診断が付くことが多いのです。
もしくは、少し手間と費用がかかりますが、MRI検査という方法もあります。
後日別の施設に行って頂き、自己負担として8000円前後はするのですが、これであれば確実に子宮や卵巣の状態を診る事ができます。
また、おりもの検査に関しても、やや精度は落ちてしまいますが、ご自身で腟内に綿棒を入れてもらって調べる検査も可能です。
デリケートゾーンに何か出来物ができた、という場合でも、スマホで写真を撮ってきて見せて頂ける方もいるので、それで診察が可能な場合もあります。
唯一、どうしても内診が必要になるのは、子宮頸癌の検査です。
これは自己採取という方法もあるのですが、腟の奥にある子宮から直接細胞を取ってくる検査なので、自分で何となく腟の中に検査器具を入れても、うまく細胞が取れない事も多いのです。
実際に、自己採取での検診は受けていたけど、子宮頸癌の発見が遅れてしまい、、、と言う事もあります。
そのため、子宮頸癌の検査だけは、頑張って内診を受けて頂きたいと思います。
最後に、内診の痛みが心配な方へのアドバイスとしては、出来るだけ力を抜く、ということです。
どうしても緊張してしまって力が入ると、余計に痛みが強くなってしまいます。
内診台に上がって足が開くと、自然とお尻に力が入ってしまうものですが、そこで意識してお尻を座面に降ろす様に力を抜くと、比較的痛みは楽になる事が多いです。
私自身が直腸診を受けた時の話を最初にしましたが、その時も最初は緊張したものの、診察してくれている先生の立場というのは、産婦人科医としてのいつもの自分の立場だと思えば、自然と力が抜けていきました。
「他人にお尻を見せる緊張感」よりも「何千人、何万人の患者さんのお尻を見てきた先生にとっての何千分の1、何万分の1」という感覚で緊張がほぐれたのです。
内診がどうしても必要になる状況もあるかと思いますが、緊張を出来るだけ軽くして受診してみてはいかがでしょうか。
もし、うまくお尻の力が抜けないなと思ったら、普段からグッとお尻に力を入れる=オナラを我慢する動作をして、それからフッと力を抜く、という筋肉の動きを意識してみると良いかもしれませんね。