長時間フライトのリスクの一つとして
深部静脈血栓症
が挙げられます。
これは、脚を長時間動かさないことにより、脚の太い血管の中に血の塊である「血栓」が出てきしまう病気です。
この血栓ができるだけであれば、脚のむくみ程度で終わるのですが、何かのきっかけで血栓が血流にのって移動してしまい、肺の中の大事な血管を詰まらせてしまうと、命に関わることも。
そのため、血栓症は出来るだけ予防しないといけないことになります。
血栓症が出来るリスクとしては、長時間足を動かさない事に加えて、脱水もリスクとなりえます。そのため、飛行機ではエコノミークラスだけではなく、ビジネスクラスでも生じます。
一般的にはエコノミークラス症候群とも言いますが、何もエコノミークラスに限った話ではないんですね。
また、自動車・電車・船でも長時間の移動はリスクになります。
予防法としては、脱水や長時間座っている状態を避ける事、座席に座ったままでも足首やかかとを上下して動かすことが挙げられます。
足の甲を天井側に上げたり、反対側に伸ばしたり、クルクル回したりと、足首の運動をすることでも、ある程度の予防効果は期待できます。
脱水を防ぐために水分を十分とるようにし、出来るだけアルコールは避けることも大事です。また、リスクが高い人は、弾性ストッキングというキツいストッキングを履くことも効果的です。
この弾性ストッキングの効果に関しては、12時間の飛行時間の後、超音波で血栓症検査を行った結果、弾性ストッキングを使用していないグループでは、4.5%に血栓が認められたのに対し、弾性ストッキングを使用した群では、0.24%にしか血栓が認められなかったというデータがあります。
このことから、膝下の弾性ストッキングの効果が非常に高いことがわかるかと思います。
具体的な飛行距離では、2500km未満では血栓症が発症しなかったのに対し、10,000km以上では100万人あたり4.77人が発症し、飛行距離が長くなるほど、発症率が高くなることがわかっています。
以上のことから、長時間足を動かさない可能性のある方は、ストッキングや水分摂取、定期的な運動などを是非心がけるようにしてくださいね。