前回のつづきです。
ヴェロソレックス、オシャレなだけではなくて、とても凝った作り。
実は凝っていると言うよりも、いかに合理的に構成させるかをとことん追求している様が手に取るようにわかって面白いのです。
ボクは全く詳しくないので、Kさんが教えてくれることが何から何まで驚きと喜びに満ちていました。
そして、使ってあるパーツのメーカーもどちらかと言えば自転車のブランドですよね。
シビエやユーレー、ユッチンソンにミシュラン。社外品とはいえイデアル等々。
インフレータもちゃんと搭載されています。
もしかしたらゼファールとかアドホックとかなのかな?
フロントブレーキレバーはワイヤーとロッドを介して、スロットルとリンケージされており、ブレーキを軽く握るとスロットルが閉じ方向に動き、必然的にエンジン回転数が落ちる仕組み。
安全且つ合理的。
そして、このグリップは2段式に動き、低速と高速の切り替えが出来ます。
その辺りのリンク機構が丸見えなのもメカ好きにはたまりません。
エンジンからクラッチを経て、ドライブローラーを駆動。
そのローラーを直接フロントタイヤに押し当てて走る!
なんともすごい稼働方法。
コレがブレーキラバーと連動しているキャブ開度調整用のカム。
キックペダルはありません。
デコンプを握りながら自転車の如くペダルを漕いで、少し勢いが付いたらレバーを徐々に離すと原動機が作動する仕組み。
自転車としては小さめなフロントのギヤリング。
クランクも短めです。
思わずTAとかストロングライトとかの刻印を探してしまいます。
フロントブレーキはVブレーキのご先祖様のような機構。
で、リアはオートバイ的なドラムブレーキ。
このBREVETE SGDGと言う刻印の意味は、政府の保証なしの特許と言うことらしい。
自分で宣言しているのか!?
合理的な作りは随所に。
このフレームも簡単な作りにして必要充分な強度を確保しつつ、恐らく組立ても簡単なのでしょう。
写真では見えにくいですが、優雅なRのプレスが施され、多少の強度アップとデザイン性をアピールしています。
そのプレスラインは、最後部で下にくるっと巻いていてオシャレ。
なんでもない倉庫を一瞬にしてフランスの路地裏に、変えてしまうデザインはさすがなものです。
Kさんが数台を保有するうちのコレは1980年頃、モトベカン社に移ってからの車体だそうです。
ボクも少し運転させていただきました。
乗った瞬間思ったのは前が重いこと。
ハンドルに取り付けた椅子に小さな子供を座らせた昭和の頃のママチャリみたいな感じです。
そして想像以上に速く、低速で充分。
サスペンションを持たない構造ですが、サドルのスプリングが効いているのか、直接的な突き上げは感じません。
ノイズはなかなかなもの。
慣れればFF故のタックインでクイックに曲がれるとか!?
少しの試乗でしたが、とても楽しく良い経験となりました。
そしてKさんは颯爽と国道に左折して、楽しいランデブーもおしまい。
adieu velosolex!
で、またペデルセン自転車のハンモックにゆらゆら揺られながら帰路につきました。
途中木陰でひと休み。
ポタリングが楽しい爽やかな季節です。
ソレックス、欲しくなっちゃったよ、ヤバいなぁ。