虹の向こう側12 | 恋愛小説 くもりのちはれ

夏&奈津~


「あのですねぇ・・・和倉先生は、浮気なんてしてないです・・・あっありがとう♪」


近藤先生に似た男の子と片山先生に似た女の子の双子ちゃんが、ヨチヨチ歩きで


私の元へ来て、女の子が私にお菓子を差し出す。


〝どーど・・・あーとー〟


そう言って女の子は、なぜか何度も頭を下げる。でも、その仕草が凄く可愛い。


『それ、一度〝どうぞ〟って返してくれる。そうじゃないと頷きが止まらなくなるの。


これが所謂〝どうぞ、ありがとうごっこ〟って言う近藤家代々の遊びなんだって。』


言われるがまま貰ったお菓子を返すと〝あーとー〟と言って、片山先生の元へ


ヨチヨチ歩き出す。


途中、滑り台に向かって〝どーど・・・あーとー〟とお菓子を差し出し・・・もう何だか


可愛すぎて、抱きしめたくなっちゃう。


『でも浮気してないって言うなら、どうして女がマンションに来て、ましてや病院に


一緒に行ってもらうなんて話になるの?


絶対にお腹の子供の父親だからでしょ?って・・・不安を煽っても仕方ないけど・・・


片山先生は、そう言うと〝ハァー・・・フゥー・・・〟と大きな深呼吸をしてから


『落ち着かなきゃいけないのは私の方だね。でもね、やっぱりおかしいでしょ?


どうして私の旦那様といい和倉先生といい、言葉が足りないのかしら。』


私以上に色々思い悩んでくれる片山先生って、今まで思ってた感じじゃない。


実は、同じ年であれば親友になりたくなる程のホント素敵な人。


「でも・・・先生が信じろって言ったから、私は先生を信じたいと思います。


きっと何か理由があるんです。だから・・・私・・・大丈夫です。」


『そっか・・・さっき、信じろ!なんて言われたんだ。


へぇーカッコいいね、和倉先生。


シン君、ママの所に来て!動きが怪しいぞ?うんうんしちゃったでしょ?』


片山先生は、男の子を捕まえる為に部屋中を追い掛け回す。


そんな先生に少し興味本位で質問を投げかけてみる。


「近藤先生の言葉が足りないって、どういう事ですか?」


『シン君、大人しく捕まりなさい!』


そんな片山先生を弄ぶ様にキャッキャッと笑いながら逃げる双子ちゃん。


追いかけるのを諦めたのか、作戦なのか・・・ヘナヘナと私の近くに座り込んだ


片山先生は、笑顔で話しだす。


『あのね・・・私の旦那様は、結納の最中、突然中断してプロポーズしたの。


それまで好きだなんて言われたことも無かったのよ。ありえないでしょ?


言葉にしないと、人って何事も通じないのよ。


だけど・・・言葉も無く、なぜ結婚?って聞かれると話は長くなっちゃうから・・・


また今度ね!つっかまえた!!』


〝マーマ・・・?〟と、ゆっくり近付いてきた男の子を抱きしめるように捕まえた先生


は男の子のお尻をクンクンと嗅ぐ。


『うわぁーやっぱり、やっちゃてる。』


何だか、今時のお嬢様系で話せない先生だと思ってたけど、全く違う。


それに、幸せそう。


近藤先生は、言葉が足らない人みたいに言ってたけど、言葉もなしで結婚するって


事は、近藤先生を信じてたからじゃないのかな?


で、こんな幸せそうならば、私も和倉先生を信じてれば、きっと幸せになれるって


片山先生を見て確信しちゃったのだけど・・・間違ってないよね?



※今日に間に合わせる為に、見直しせずにUPします。後で訂正するかもしれません。

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