虹の向こう側1 | 恋愛小説 くもりのちはれ

夏&奈津~


『奈津?どうしたの?食欲無いの?それとも美味しくないの?』


テーブルの上には、お母さんお手製の自慢のチーズインハンバーグ


『じゃあ奈津の残り、俺食っても良い?』


涼君は、あいも変わらず放課後に私の家に寄って、夕飯を当たり前の様に食べ


その後リビングでテレビを一時間ほど見てから、自分の家に帰って行く。


『奈津の食べかけじゃなくても、まだ余分に作ってるから、ほらご飯もおかわりする


でしょ?』


『うん。でも茶碗半分ぐらいで良いから。』


まるで当たり前の様に茶碗を差し出し、お母さんも当たり前の様に受け取る。


『でもね、あんた達って揃いも揃って、放課後まっすぐ家に帰って来るなんて・・・


別の意味で心配なのよね。ホント二人とも恋の話って一つも無いみたいね。』


おかわりのご飯を涼君の前に置くと、軽く溜息を吐いて私達の顔を覗きながら


愚痴りだすお母さん。


『奈津はともかく涼君はもてるでしょ?受験勉強も大変だけど、それでも生き抜きも


大切よ。十代で色んな経験をして、相手を見る目を養わなくちゃ。』


夏に部活を引退した私達。


もちろん私は、放課後デートなんて出来ないから、寄道すらせず真っ直ぐ家に帰る。


この一年の間に、私が知ってる限りでも5人程と付き合った涼君。たぶん数日前に


同じクラスの子に告白されたみたいだけど、どうやら今回は断ったらしい。


『ははっ・・・女は、面倒くせぇから、もうイイ。なっ?奈津もそんな感じだろ?


まして大人の男は、隠れて何してるか解んねぇから、大変だよな?


ホテルでいやらしい事しても、子供にはバレ無いなんて思ってんだろうけど、所詮


浮気なんてバレるモンなんじゃねぇ?遊んだ所でうまく言い包められるって、自信が


あんだろうな。あっ、違うか・・・子供の方が遊ばれてるって事もあるよな。』


『大人の男?えっ・・・奈津、もしかして年上の男の人に騙されたの?』


涼君・・・まさか、全部知ってるの?私達が付き合ってるって気付いてるの?


『ねぇ、奈津・・・どんな人?何してる人?浮気するような人なの?』


「はっ?何でそんな話になるのよ。そんな人いないから・・・」


『ははっ、冗談だから叔母さん。奈津に限って、そんな事は無いよ。なっ?奈津。』


「ううん・・・」


『奈津は、その辺の遊ばれるような馬鹿な女じゃねぇから、大丈夫だよ。』


「・・・」


涼君・・・コレって・・・別れろって意味の忠告?


涼君の様子から、どうやら先生のホテルの噂は、学校中に広まってるみたいだ。



↓クリックお願いします。

にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ

にほんブログ村

プロローグ /目次 / 2