純喫茶 黒猫-w.jpg

『エヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの庵野秀明が、実写映画を初プロデュースした感涙のドキュメンタリー。35歳の誕生日直前に急逝した女優故・林由美香の日常を、14年間にわたりひたむきにカメラが追い掛ける。林の元恋人でもある『由美香』の平野勝之がメガホンを取り、彼にしか撮り得ない映像を映し出す。身近な人との出会いと別れ、そしてそこからの再生を描いたリアルなドラマ。

本当の人の生き死にを突き付けられた時にどんな反応をするのか。

不倫関係にあるAV女優と監督が、二人で礼文島を目指すロードムビーから月日が経ち、その頃には恋愛を超越し一年に一回会うか会わないかだったが、由美香から男の相談を受けたりというやりとりをしていた。そんな中、撮影の依頼をし当日になっても彼女からの応答はない。仕事をスポイルするような人間ではない。何度か自宅に行き、最終的には、由美香の母親の合鍵で部屋に入ると強烈な異臭。飛び出してきた白い犬、落ち着きのない愛犬がかまって、かまってとせわしなく動き回る。

撮影の為にいつもまわしているカメラが床に置き去りになっていたので、彼女の死が現実に起こっていて、母親の慟哭が鮮明に映し出されていて、息もできない。

平野監督はそれ以降五年程創作活動から離れてしまった。AV監督初作品の女優由美香に恋心を抱き、彼女に見合う同業者になるまで数々の過激で斬新な作品を作り、二人は惹かれあった。彼のターニングポイントにはいつも彼女がいたのに今は不在だ。

この作品を作ることで気付いたのは、彼女とさよならしたくないという事。解ってるけど解りたくない。忘れたくない人がいて、忘れられたくない人がいる。

26歳の彼女は、幸せ?の問い掛けに幸せだよとカメラを直視して切なく呟く。レンズ越しのその人へ。

普段は買わないけどパンフレット買ってしまった。幸せの輪郭は日々かわっていくし気付きにくいものなのかもしれない。些細なやりとりすら愛しいと感じるけど声に出さないでおく。