テート美術館展「ターナー、印象派から現代へ」に行って来た。

光に焦点を当てた美術展。ロマン主義の画家から印象派、現代美術アーティストまで200年に渡る光にまつわる美術史をを楽しむことが出来るよ。


ターナー「陽光の中に立つ天使」

聖書を主題とした作品。大洪水により苦悶する人々とミカエルが醸し出すオーラが効果的に描かれている。


ダービー「噴火するヴェスヴィオ山とナポリ湾の島々を臨む眺め」

明暗が強烈な印象の作品。

ヴェスヴィオ山が北斎の赤富士にも見える。雲が龍の見て取れて幻想的に仕上がってる。

マーティン「ポンペイとヘルクラネウムの崩壊」

ヴェスヴィオ山の噴火を扱った作品だが、背景の噴き出す溶岩と噴煙に走る稲妻などダイナミックな表現により前方で逃げ惑う人々が臨場感たっぷりに描かれてる。

ミレイ「露に濡れたハリエニシダ」

シダに着いた露に朝日が反射する様を神秘的に描いている。これも光がなせる技だね。

モネ「エプト川のポプラ並木」

スケッチ風の筆致はモネらしいかな。

モネのインスピレーションががそのまま反映されている。

シスレー「春の小さな草地」

モネと並ぶ印象派の大御所。全ての対象物の光の当て方に細心の注意を払っているから写実的な絵になってる。

ホイッスラー「ペールオレンジの緑の黄昏」

黄昏時の薄暗さの光の効果がよく表現されている。

ピサロ「水先案内人がいる桟橋、ルアーヴル、朝、霞がかった曇天」

ピサロもまた印象派の大御所か。

この場所でいくつか作品を残しているけど、この日は朝で霞かかった曇天の日だったんだろうね。

ギヨマン「モレ=シュル=ロワン」

多くの印象派画家が好んで描いた川べりの風景。

水面を照らす光と明るい色調が特徴的。

ハマスホイ「室内」

印象派画家が屋外に出かけてスケッチに励んだのに対し、ハマスホイは室内で描かれた作品を多く残しているのかな。調度品に当たる柔らかな光が立体感を際立たせているね。

ここからはインスタレーション。

計算された光の相互作用を実感することが出来る。

草間彌生「去ってゆく冬」

ペー・ホワイト「ぶら下がったかけら」


オラファー・エリアソン「星屑の素粒子」

そのほかタレルのレイマーブルーも幻想的だったかな。

光と色彩の密接な関係と光に影響される作品を具体的に見られる興味深い展覧会だったね。


2023年10月2日まで国立新美術館で開催中。