少し前に九州の某温泉地に飛行機で行った時のこと。実はこの温泉地は20年前にリゾート開発の仕事で何度も通った場所である。もうその際のことは大半、覚えていないのだが、食い意地だけははっているので、その空港内のお寿司屋さんの握り寿司が美味しかったことだけは漠然と覚えていて(毎回、東京に戻る際に食べていた)、今回も着陸後、ちょうど昼時だったので、件の寿司屋に寄ったものである。


 「ランチ1000円」というちらし寿司を注文したのだが、これがひどいシロモノだった。市内へ行くバスの時間が迫っていて急いでいたこともあり、早くにでてくるものをと思って注文したのだが、食べ終わって「失敗した」と猛烈に自戒した。「食い意地大将」の面目にかけて¥2900の特上にぎり寿司を注文すればよかったと後悔、後悔である。申し訳ないが、このちらし寿司を初めて食べた人は二度とこの店に立ち寄らないだろうな。


 飲食店を経営したことはないが、経営者らとはよく話をする。その際に聞いた話で印象に残っているのは、「絶対に採算がとれない値段だが、リピーターを呼び込むために清水の舞台から飛び降りる賭けランチ」を提供することがある、という話。

 件の寿司屋は「1000円のちらし寿司で豊後水道の美味い魚がのった寿司を食べようなんて、おこがましいヤツ」という姿勢を、注文した客に明らかに表明していた。だから二度と行かない。


 いやでも比較したくなるわけだが、東北は地方に行けばいくほど、客が「これで採算とれているのか?」と心配したくなるような、くそまじめ且つ過良心的な店が多い。ま、だから会津は薩長に負けた、とも思う。

 何故か、どうしても西日本が好きになれない「心はオジサン」である。