今年は本当に訃報が多かった。自分自身も含め、こんなに知り合いから訃報をもらう年はこれまでにも経験がない。震災から二年近くがたち、特に高齢者や病に伏していた方々の状況は違えど、一挙に心労が出た結果ということなのかもしれない。

 それにしても、訃報の殆どはそれぞれの両親(のどちらか)で、いずれも90歳を超えている。つくづく長命社会となったと実感すると共に、「心はオジサン」の両親は共に83歳で身罷ったことを振り返ると、「まだ若かった」のかもしれないと思ったりもする。


 そしてこの年末にきて勘三郎のまさに「早すぎる死」は結構なショックだった。実はこの人、「心はオジサン」と同い年である。

 特に好きな役者、というわけではなかったが、亡くなってみると、歌舞伎界における「存在の大きさ」にあらためて気が付く。こういっちゃなんだが、その世界に生まれたこともあってか、同世代にはなかなか見られない「気配りの人」であったというし、昨年だったかフジTVの「うちくる」に出演していた際には1時間、笑いっぱなしだった。それくらい、日常でも周囲を楽しませるエンターテイナーであったということだろう。還暦を過ぎた重鎮たちと、自分の息子らを含め、これからという若手を繋ぐ重要な橋渡しの役目も担ってきただろう。


 惰眠を貪るような人生を過ごしてきた大人たちは、彼の「早すぎた死」に学ぶことが幾らでもある。長生きすることを目標にするのではなく、あらためて「どう生きるか」である。君、見失うことなかれ。合掌。