この9月末から、我が家でちょっと変化があったとすると、ゲストルームに使っている部屋に、小さな洋風仏壇が置かれたことか。もちろん、先月、母が亡くなった後、介護施設から引き揚げてきたものだ。

 朝、目覚めるとまず最初に水とお線香を仏壇に上げ、手を合わせるという習慣が加わった。東からの陽光がふり注ぐ朝、窓を開け、たなびくお線香の煙に「今まで味わったことのない」時間の中に身を置いている。


 いずれ、朝、ベッドから身を起こすのがつらくなる冬がくる。それまでのいっとき。この時間を大切にしたいと思うようになったのは、両親共に鬼籍に入ったせいでもあるのか。


 このところは、だらだらと長い夏、そしてなかなか訪れない春、という年が続いているように感じ、いっそう「短い秋」が愛おしい。