あれほど暑い日が続いたのに、ここ数日、通りを歩いていると、どこからともなく漂ってくる金木犀の香りは秋の訪れを教えてくれる。そうか、もう10月。


 母の告別式が終わり、火葬場に向かう際、喪主だった「心はオジサン」は霊柩車の助手席に位牌を持って乗り込んだ。

 斎場までの45分間、「この道50年」という霊柩車ドライバーの話は、思い返すと、不謹慎かもしれないが、実に興味深い話だった。


 曰く、関西と関東の収骨の違い(関西は喉仏だけだそう)、東日本大震災の際の関東各市町村の被災地の遺体受け入れの状況、ネット葬儀会社の起こしているトラブル、世界で一つしかない航空機事故の為の葬儀会社の話などなど、あっという間に時間がたち、出来ることなら別の機会にもっとじっくりと話を聞いてみたいと思わせるほど、奥の深い内容だった。


 何年か前、映画「おくりびと」が一大ブームとなって以来、若い人の就職先として葬儀会社は人気上昇中と聞く。地元、仙台の葬儀会社でも今は圧倒的に大卒の希望者が増えているらしい。

 両親を送った身として、都度、「死を送る」ことの大事さを実感した。高齢者が増え、「死」を日常のように感じる現代、確かに将来性のある、しかも尊い仕事なのかもしれないと、秋の風を心地よく感じつつ、あらためて思う。