1985年8月、私は確信を持って東京都高等学校吹奏楽コンクールB組の会場にいました。指導を始めて4年目になる母校の吹奏楽部が、かつてない手応えを伴って本番を迎えるからです。
特にサウンドの大幅な改善に成功したという実感があり、会場でどのように響くかを聴き逃すまいと、私は耳を澄ませていました。
母校の演奏が始まると、それまで聴いていたどの学校からも聴こえなかった美しい響きが会場を満たしました。入念に練習した課題曲と自由曲は、練習を上回る完成度で演奏できていたのです。自由曲が終わり、満場の拍手を聴きながら、私は思わずガッツポーズをしました。
表彰式では、目標としていた**「ゴールド金賞」**の栄誉に浴しました。この演奏は聴いた人に強い印象を与え、同じ学区の学校から練習見学の申し入れがあったほどです。
あれから40年。私は一度吹奏楽の世界を離れましたが、さぞかし進展しただろうと、久しぶりにコンクールやコンサートを聴きに行きました。しかし、そこで待っていたのは落胆でした。
母校のあの40年前の演奏に匹敵するようなサウンドの演奏は、どこにもない。
吹奏楽に関する書籍を調べても、サウンドを根本から改善する練習法は見つかりませんでした。
それならば、あの美しいサウンドを再現できる**「チューニング技法」**を広めようと、思いつく限りの団体に手紙を出しました。しかし、残念ながら練習に採用してくれる団体は一つもありませんでした。
仕方がない。
こうなったら、誰でも入手可能な形にまとめて、世に問うしかありません。それがこの小冊子を書いた動機です。
この技法は、母校で何年指導しても同じ効果が出たことから、再現性は極めて高いと確信しています。願わくは、読まれた方が一人でもいいので、実際に練習に取り入れてくれれば本望です。
美しい響きを取り戻すために。是非、このチューニング技法に取り組んでください。
