1. 技法 I:【響きの土台】3名体制で実現する「B♭の絶対音程」
まず、吹奏楽の基準音であるB♭を使って、バンド全員の音程を合わせます。吹奏楽の経験がある読者は、これがなかなか難しいこと、そして多くのバンドが妥協してしまっていることをご存知だと思います。
しかし、ここで説明する方法は、私の経験上、本当に全員がチューナーの示す絶対的な基準音に合わせられる唯一の方法であると確信しています。
📌 なぜ「3名体制」なのか?(2人組ではない理由)
一般的な「一人でチューナーを見る」方法では、奏者は音が安定しづらい中で何回も測定し直し、「まあこの辺だろうか」と妥協してしまいがちです。これではバンド全員で合わせたところで合っておらず、曲の練習中に音合わせをやり直すことになりがちです。
本技法では、**奏者2名とチューナー担当1名(合計3名)**で行います。この3名体制のメリットは、以下の3点です。
- 集中力の向上: 奏者は測定や調整に気を取られず、安定した音を出すことに集中できます。
- 客観的な収束: チューナー担当者が客観的な審判となるため、感情や妥協を排除し、必ず基準音に収束させることが可能です。
- 確実な基準: 2人組が合っているのは、2人がお互いに合わせているのではなく、チューナーの絶対的な基準音に合っているからです。これにより、バンド全員が基準音に合っている状態が確実になります。
📌 手順:3名体制による測定と矯正
以下の手順で、奏者A、奏者B、チューナー担当Cの3名で練習を行ってください。
- 全員の音出し: 奏者Aと奏者Bの2人で同時にB♭の音を出します。
- Cの判定: チューナー担当Cは、2人の音を耳で聴き、「うなり」があるか、すなわち音が合っているかを判定します。
- 個別の測定と指示(Cの役割):
- 合っていなかった場合、CはAまたはBのどちらか一方に吹くのをやめさせます。
- Cは残った奏者の音をチューナーで測定し、**「基準音より高い/低い」**を判断します。
- Cの指示に基づき、奏者は管(主管など)を抜き差しして音程を修正します。
- 繰り返し: 奏者Aと奏者Bのそれぞれについて、③の測定と調整が完了するまで繰り返します。その後、①に戻って2人で同時に音を出し、うなりが消えたかを確認します。
- 厳守事項:耳の使い方ここでの耳の使い方は、**「2人の音にうなりがあるかどうか」**を判別するだけであり、決して音程を耳で合わせてはいけません。音程の調整は、チューナーの数値と管の抜き差しという機械的な操作のみで行います。このようにして全員の基準音を合わせていくと、合奏のサウンドはガラリと変わり、低音から高音までがっしりと安定した響きが得られます。バンドのメンバーも、濁りの少ない響きの中で自分の音を明確に捉えられるようになるでしょう。最初は時間がかかりますが、慣れと集中力が増すにしたがって短縮が可能です。また、後述するスケール練習を始めると、このB♭の基準音合わせにはほとんど時間を使わないで済むようになるでしょう。
