帰郷~居場所~
『あの時…ヒロ君に何か言ったの?』
飲みかけた珈琲を思わずこぼし止まった
さりげなくそれを拭く千里
本当に覚えて無いのか…
嘘ではないらしい
なぜなら
嘘をついている千里の瞳(め)を見つめると潤んでくる
でも今は
しっかり見つめ返している
何を言ったのか思い出そうと
あの日を辿り始めるる千里
あの時の鼓動が甦ってくる…
『やっぱり思い出せない…
私、何を言ったの?
ヒロ君が困る事?
ねぇ教えてよ』
あの言葉は本当に零れ落ちた千里の想いだったんだと
ひとり噛み締め愛しくなった
教えないと諦めないだろう
でも
なぜか照れくさい
迷っている俺を見ながら
『…もしかして
あの頃のヒロ君が困るようなことって
さっき言い掛けた言葉だったりする?…』
『…たぶんな…』
千里の瞳が潤み出し
『ごめんね…』
言葉と一緒に零れ落ちた
『ば、ばか…泣くなよ…謝ることなんかねぇよ』
『だって…
告白しといて違う人と付き合ったんだよ…』
『噂だったんだろ?
俺こそ悪かったな、確認もしないで』
首を大きく横に振る姿が
幼い子供の頃を思いださせた
『ずーっと勘違いしてたんだ…
気付いていながら知らん顔で
彼氏出来て良かったな、なんて言われて勝手にショック受けて
ごめんね…
困らせてたんだよね…』
あの頃こんな風に話せていたら
避けることなく話せていたら
リュウ達に言わせれば
犠牲者が出なくて済んだかもな
『だから謝るなって…俺もあ頃の思ったよりガキだったしな』
子供の頃のように頭を撫でていた
近過ぎて
側に居ることが当たり前で
気を使うことなく話せた
それなのに
肝心な自分の気持ちになると話せなくて、聞けなくて
千里の事に関してはどんな事より気にして動揺してガキだった
んだよな
気持ちをハッキリすることが出来た千里はスッキリした顔になっている
それに比べ俺は
気持ちの方向はハッキリした
だけど
『彼女』として見ることも
その枠をはめることも
出来ずにいる
そんな顔で見つめないでくれ
ふと…視線を反らす
『年期が違うからね
私の中のヒロ君の居場所は
ずーっと変わらなかったから
いいよ今のままで
今までと違ってヒロ君がちゃんと見えるから
大丈夫』
さっきまでポロポロ零れ落ちていた顔とは思えないスッキリした笑顔
言葉も想いも
胸に詰まるようで
たけど今は愛しいと想う
俺が居る
新しい珈琲を入れて戻って来ると
たわいもない思い出話しを始めた
生まれた時からの付き合いの長さだ話しは尽きない
改めて振り返ると
本当に俺達は一緒だった
周りにはいつもあいつ等がいて
支えてくれていた
ここに運んでくれた
気付くと外はうっすらと明るくなって
一気に現実が押し寄せて来た
仕事だ
会議だ
しっかり切り替えろ
両手で軽く顔をパンパンと叩いた
二人で外に出ると
澄んだ空気と鳥の声に癒される思いで空を見上げた
大きく背伸びをするように両手を広げ深呼吸をした
いきなり背中に体当たりするような千里に思わず身体が支えきれず
一歩踏み出した
腰に回した腕に力が入る
そんな手に視線を落とすと
『いいんだよね
側に居て…
ヒロ君を好きでいて
いいんだよね…』
しがみつく千里が可愛いくて微笑んでたと思う
『ば~か…
「いいならづけ」なんだろ
俺達は』
『う…ん』
声にならないような声で
頷くのを感じた
慌ただしく数日が過ぎ
千里が報告しながら帰郷した
どんな風に話すのか心配はある
どう受け取るのかかなり心配だ
そして
留守電が入った
『もう、泣かせんじゃねぇぞ』
『ヒロ君、絶対幸せになってよ』
『もう、世話やかせんなよな』
『ヒロ君、千里をよろしくね』
『複雑だが認めるよ。千里を頼むよ』
『今度は二人で帰って来い』
『私は千里ちゃんの味方だからね』
『男は覚悟したら迷うな』
千里の父親以外やけに嬉し気というより
笑いを堪えたような言い方
特にじいちゃん…解り過ぎだろ
正かとは思うけど…
もしかして仕組まれてた?
やりかねないよな
そう思った時
『ヒロ君…だぁ~い好き』
あいつは
生まれた時から
俺の中に居たのかもな
妹として、彼女としての居場所ではなく
『俺の中で千里の居場所は
お前だけの場所だったのかもな』
何故か俺のベッドで寝ている
無邪気な寝顔の千里の頭を撫でた
それは昨夜24時を過ぎた時
『ただいまぁ~』
『泊まらずに来たのか?
…帰る家が誓うだろ』
『だって早くヒロ君に会いたかったんだもん』
解ったから落ち着け
そして離れろ
無防備で無邪気な
態度と仕草そして言葉
時に女全開なのを解ってんのか
戸惑う俺を楽しみやがって
『ヒロ君ソファーでいいの?
一緒にベッドで寝れば良いのに』
許婚で理想の彼氏像のヒロ君…
そんな居場所でなく
単なる男の俺にお前が気付いた時
たっぷり仕返ししてやるから覚悟しとけよ
『ち~さ~と~起きろ!
朝だぞ!』
完
お粗末でした
お付き合いありがとうございましたm(__)m
飲みかけた珈琲を思わずこぼし止まった
さりげなくそれを拭く千里
本当に覚えて無いのか…
嘘ではないらしい
なぜなら
嘘をついている千里の瞳(め)を見つめると潤んでくる
でも今は
しっかり見つめ返している
何を言ったのか思い出そうと
あの日を辿り始めるる千里
あの時の鼓動が甦ってくる…
『やっぱり思い出せない…
私、何を言ったの?
ヒロ君が困る事?
ねぇ教えてよ』
あの言葉は本当に零れ落ちた千里の想いだったんだと
ひとり噛み締め愛しくなった
教えないと諦めないだろう
でも
なぜか照れくさい
迷っている俺を見ながら
『…もしかして
あの頃のヒロ君が困るようなことって
さっき言い掛けた言葉だったりする?…』
『…たぶんな…』
千里の瞳が潤み出し
『ごめんね…』
言葉と一緒に零れ落ちた
『ば、ばか…泣くなよ…謝ることなんかねぇよ』
『だって…
告白しといて違う人と付き合ったんだよ…』
『噂だったんだろ?
俺こそ悪かったな、確認もしないで』
首を大きく横に振る姿が
幼い子供の頃を思いださせた
『ずーっと勘違いしてたんだ…
気付いていながら知らん顔で
彼氏出来て良かったな、なんて言われて勝手にショック受けて
ごめんね…
困らせてたんだよね…』
あの頃こんな風に話せていたら
避けることなく話せていたら
リュウ達に言わせれば
犠牲者が出なくて済んだかもな
『だから謝るなって…俺もあ頃の思ったよりガキだったしな』
子供の頃のように頭を撫でていた
近過ぎて
側に居ることが当たり前で
気を使うことなく話せた
それなのに
肝心な自分の気持ちになると話せなくて、聞けなくて
千里の事に関してはどんな事より気にして動揺してガキだった
んだよな
気持ちをハッキリすることが出来た千里はスッキリした顔になっている
それに比べ俺は
気持ちの方向はハッキリした
だけど
『彼女』として見ることも
その枠をはめることも
出来ずにいる
そんな顔で見つめないでくれ
ふと…視線を反らす
『年期が違うからね
私の中のヒロ君の居場所は
ずーっと変わらなかったから
いいよ今のままで
今までと違ってヒロ君がちゃんと見えるから
大丈夫』
さっきまでポロポロ零れ落ちていた顔とは思えないスッキリした笑顔
言葉も想いも
胸に詰まるようで
たけど今は愛しいと想う
俺が居る
新しい珈琲を入れて戻って来ると
たわいもない思い出話しを始めた
生まれた時からの付き合いの長さだ話しは尽きない
改めて振り返ると
本当に俺達は一緒だった
周りにはいつもあいつ等がいて
支えてくれていた
ここに運んでくれた
気付くと外はうっすらと明るくなって
一気に現実が押し寄せて来た
仕事だ
会議だ
しっかり切り替えろ
両手で軽く顔をパンパンと叩いた
二人で外に出ると
澄んだ空気と鳥の声に癒される思いで空を見上げた
大きく背伸びをするように両手を広げ深呼吸をした
いきなり背中に体当たりするような千里に思わず身体が支えきれず
一歩踏み出した
腰に回した腕に力が入る
そんな手に視線を落とすと
『いいんだよね
側に居て…
ヒロ君を好きでいて
いいんだよね…』
しがみつく千里が可愛いくて微笑んでたと思う
『ば~か…
「いいならづけ」なんだろ
俺達は』
『う…ん』
声にならないような声で
頷くのを感じた
慌ただしく数日が過ぎ
千里が報告しながら帰郷した
どんな風に話すのか心配はある
どう受け取るのかかなり心配だ
そして
留守電が入った
『もう、泣かせんじゃねぇぞ』
『ヒロ君、絶対幸せになってよ』
『もう、世話やかせんなよな』
『ヒロ君、千里をよろしくね』
『複雑だが認めるよ。千里を頼むよ』
『今度は二人で帰って来い』
『私は千里ちゃんの味方だからね』
『男は覚悟したら迷うな』
千里の父親以外やけに嬉し気というより
笑いを堪えたような言い方
特にじいちゃん…解り過ぎだろ
正かとは思うけど…
もしかして仕組まれてた?
やりかねないよな
そう思った時
『ヒロ君…だぁ~い好き』
あいつは
生まれた時から
俺の中に居たのかもな
妹として、彼女としての居場所ではなく
『俺の中で千里の居場所は
お前だけの場所だったのかもな』
何故か俺のベッドで寝ている
無邪気な寝顔の千里の頭を撫でた
それは昨夜24時を過ぎた時
『ただいまぁ~』
『泊まらずに来たのか?
…帰る家が誓うだろ』
『だって早くヒロ君に会いたかったんだもん』
解ったから落ち着け
そして離れろ
無防備で無邪気な
態度と仕草そして言葉
時に女全開なのを解ってんのか
戸惑う俺を楽しみやがって
『ヒロ君ソファーでいいの?
一緒にベッドで寝れば良いのに』
許婚で理想の彼氏像のヒロ君…
そんな居場所でなく
単なる男の俺にお前が気付いた時
たっぷり仕返ししてやるから覚悟しとけよ
『ち~さ~と~起きろ!
朝だぞ!』
完
お粗末でした
お付き合いありがとうございましたm(__)m